Parkinson病の新しい治療戦略

By , 2014年3月21日 10:33 AM

Roche社が Elan社の子会社 Prothenaと契約し、PRX02の開発を進めることが、2014年3月10日のNature biotechnology誌の Newsで紹介されていました。その Newsでは、他にもいくつかの薬剤が紹介されています。

Roche bets on alpha-synuclein for Parkinson’s

α-synucleinは、Parkinson病の多くやレヴィー小体病の原因と推測されているタンパク質です。α-synucleinが勝手に重合して蓄積することが、疾患にとって重要な役割を果たすと考えられています。PRX02は、α-synucleinの C末端に結合して、それを防ぐことが期待されるモノクローナル抗体です。この薬剤は、第一相臨床試験に向けて動き出しているようです。

また、AFFiRiS社も α-synucleinをターゲットとしたワクチン PD01Aを開発中です。作用機序としては、α-synucleinに似た小さなペプチドを用いることで、免疫応答を引き出すそうです。現在、第一相臨床試験が行われています。

ProteoTech社が開発する小分子 Synuclereは、α-synucleinの重合を防ぎ、また重合した α-synucleinを重合していない形にかえることで、α-synucleinを除去することを目的としています。開発が安価で、安全で、血液脳関門を通過しやすいというメリットのある薬剤のようです。

別の戦略として、Biogen社は、Amicus Therapeutics社と組んで、リソソーム酵素 glucocerebrosidaseの活性を高める小分子を開発することを発表しました。 glucocerebrosidaseの欠損は、脳内の α-synucleinの重合を引き起こすとされています。

パーキンソン病の根本的治療薬は現在のところないので、我々は患者さんの症状を緩和する薬剤を使うしか方法がないのですが、疾患の原因物質に作用して進行を遅らせることができるような薬剤が開発されれば、これほど喜ばしいことはないですね。治療薬の開発がうまくいくことを祈っています。

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医は忍術 (違

By , 2014年3月21日 5:36 AM

国立科学博物館の特別展「医は仁術」に行って来ました。酒井シヅ氏が監修に加わっていると聞いていたので、以前から楽しみにしていました。

特別展 医は仁術

入口付近は漢方関係の資料が多く、洋学の資料は少ないかと思って不安になりましたが、最初のブロックを過ぎるとその不安は杞憂だとわかりました。とにかく資料が膨大でした。

シーボルトの処方箋、華岡青洲の手術器具および手術記録、珈琲を日本に紹介した宇田川榕菴のミルとか医学史好き垂涎の資料が所狭しと展示されていました。その他、展示会場を埋め尽くしていたのが、膨大な数の江戸時代の医学書です。名前を聴いたことのある書物はほぼ全部ありました。解体新書の横には、ターヘル・アナトミアの該当するページを開いてあって、図が比較できるなどの気配りがありました。以前訪れた津山洋学資料館蔵の展示品もいくつかありました。

あとは、徳川家康所用の薬壺とか、とにかくとにかく御薦めです。開催期間は 3月15日~6月15日です。

公式ガイドブックと、「酒は微酔 花は半開 (リンク先音が出ます)」のクリアファイルを購入して帰宅しました。

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