ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014
2014年4月27日に、サントリーホールに「ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014」を聴きに行きました。2014年4月23日に成田達輝さん達と青山の川上庵で食事をして、Bar Tizianoで飲んだ時に話題が出て、御招待頂いたのです。
このコンサートはサントリーホールの小ホールで行われましたが、奇しくも大ホールで予定されていた佐村河内守のコンサートは中止となっていました。
【公演中止】佐村河内 守 作曲 交響曲第1番≪HIROSHIMA≫
この公演は中止となりました。チケットの払戻しは2月17日(月)から5月7日(水)までお買い求めのプレイガイドにて承ります。中止に関するお問い合わせは、サモンプロモーション 0120-499-699 までお願い致します。
- 日時
- 2014年4月27日(日) 14:00 開演
- 指揮
- 金聖響
- 演奏
- 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
さて、小ホールで行われた「ヴァイオリン・フェスタ・トウキョウ2014」は、難曲ばかりがプログラムを飾っていましたが、いずれも非常に高いレベルで演奏されていました。
ヴィエニアフスキ:モスクワの思い出 Op.6 (河井勇人)
バッツィーニ:妖精の踊り Op.25 (深田麗音)
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第 1番ニ短調 Op.75 第 2楽章 (小林香音)
サラサーテ:ナバーラ Op.33 (宮崎真莉子/宮崎真実子)
サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25 (後藤康)
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第 2番イ短調 Op.27-2 (北川千紗)
ジンバリスト:リムスキー・コルサコフの「金鶏」による演奏会用幻想曲 (見渡風雅)
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・協奏曲第 1番 Op.77 第3/4楽章 (千葉水晶)
ワックスマン:「カルメン」幻想曲 (岡本誠司)
フバイ:「カルメン」による華麗な幻想曲 (土岐祐奈)
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第 29番イ長調 K.305 (293d)
サン=サーンス/イザイ編:ワルツ形式のカプリース (小川恭子)
ヴィエニアフスキ:華麗なるポロネーズ第 2番イ長調 Op.21 (宮川奈々)
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第 7番ハ短調 Op.30-2 (大塚百合菜)
ミルシテイン:パガニーニアーナ (山根一仁)
ストラヴィンスキー:協奏的二重奏曲 (成田達輝/萩原麻未)
まず、最初のヴィエニアフスキを聴いてビックリしました。なんと、小学六年生がこの難曲をミスなく完璧に演奏していたからです。これは凄いことです。ただ、一つ課題を挙げるとしたら、ヴィブラートだと思います。G線も E線も同じように細かいヴィブラートをかけていたし、音が変わるときにヴィブラートが途切れて滑らかさを欠いていました。とはいえ、彼のセンスがあれば直ぐに解決できるでしょう。2曲目は、私の大好きな曲。これは中学 2年生の深田麗音さんによる演奏でした。左でのピチカートが余りクリアではないという課題は見えましたが、音程は正確で、ボウイングのテクニックも華麗でした。
続いて、小林香音さん~小川恭子さんまでが、高校生~大学生による演奏でした。一番印象に残ったのが、サラサーテのナバーラ。おそらく双子でしょうけれど、2人のヴァイオリニストが完璧にシンクロしていました。デュオでのレパートリーが十分に増えれば、普通に演奏活動ができるレベルだと思いました。
いずれも質の高い演奏が続く中、モーツァルトとベートーヴェンのソナタは、少し残念。これは演奏者の技術云々というより、それだけ音楽的に難しい作品だからでしょう。生涯かけて追求する作品ですね。
空気が一変したのは山根一仁さんが登場したときです。登場した時のオーラが、これまでの演奏家とは全然違いました。そして最初の音から釘付けになりました。山根さんの描く世界が広がり、これが「上手な演奏家」と「カリスマ性のある演奏家」の違いなのだろうと思いました。本当に素晴らしい演奏でした。
・Nathan Milstein ‘Paganiniana’
締めは、成田達輝さんと萩原麻未さんの演奏。ストラヴィンスキーの デュオ・コンチェルタンテでした。
・Stravinsky Duo Concertante (Dushkin/Stravinsky)
成田さんと萩原さんによるこの曲の演奏を聴くのは二回目だったので、初めて聴いた時のような衝撃はありませんでしたが、山根さんを除くこれまでの演奏家達に比べて表現力が際立っていました。意図を伝える力、表現の幅、音の繊細さが素晴らしかったです。世の中に上手い演奏家はゴマンといることはわかりましたが、やはりプラスアルファして聴かせるものがあるのが、トッププロということなのでしょうね。この日はヴァイオリン演奏を堪能しました。
いずれの演奏家もまだまだ若いですし、将来が楽しみです。