爆撃下のガザで医師たちが人命救助の合い間にツイートした痛ましい話
シリアやイラク、ウクライナなど、内戦の悲惨な状況が連日のように報道されていますが、その中でもイスラエルのガザ地区は最も民間人犠牲者の多い地区の一つです。
ガザ地区では、病院もイスラエル軍の攻撃の対象になっています。そうした病院で働く医師たちのツイートを見て、心が痛みました。
爆撃下のガザで医師たちが人命救助の合い間にツイートした痛ましい話
シリアやイラク、ウクライナなど、内戦の悲惨な状況が連日のように報道されていますが、その中でもイスラエルのガザ地区は最も民間人犠牲者の多い地区の一つです。
ガザ地区では、病院もイスラエル軍の攻撃の対象になっています。そうした病院で働く医師たちのツイートを見て、心が痛みました。
爆撃下のガザで医師たちが人命救助の合い間にツイートした痛ましい話
成田達輝氏が演奏するメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の第 1楽章が、テレビユニマンチャンネルで視聴可能になりました。
私がこの曲をさらった時、昔の巨匠達の演奏する CDを中心に 20枚くらい買って聴き比べたものでした。成田氏の演奏は、ややゆっくりめのテンポ設定で、気高さの中に漂う切なさを感じさせる演奏です。表現が豊かで、聴いていて面白いです。下記リンクから是非どうぞ。
テレビマンユニオンチャンネル
ヴァイオリン:成田達輝
指揮:山田和樹
日本フィルハーモニー交響楽団
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
遠隔画像診断.JPというサイトでは、様々な疾患の画像所見を解説しています。かなりの量あるので、まとめて見るのは結構大変ですが、Twitterや Facebookでフォローしておくと、毎日のように画像解説が流れてきて、自然と勉強できます。
遠隔画像診断.JP
先日は、妊婦の CT検査による胎児への影響について解説していました。
多くの医師は、学生時代、妊婦にレントゲンや CTは原則禁忌扱いで、月経から 10日以内なら妊娠の可能性がないので安全 (10-day rule) と習ったと思います。臨床現場でも、妊娠が否定できない方の CT検査の前に、妊娠反応をチェック・・・というのは、たまに見かける風景です。妊婦とわかれば、可能な限り検査は避けたいのが心情だと思います。
ところが妊婦とわかっていても、母体の治療をするために、どうしてもレントゲンや CTを撮像しなければならない場合があります。そうしたとき、検査がどの程度の胎児に影響するのかはあまり良く知られていません。下記の解説は非常にわかりやすかったので紹介しておきます。これを見ると、必要があるときはきちんと説明して検査しないといけないのだなということがよくわかります。
妊婦の CT検査による胎児への影響
論文投稿に関連したいくつかのネタの紹介。
①アブストラクトの話
論文には、通常抄録 (abstract) がついています。雑誌によってまちまちですが、論文のスタイル毎に文字数の制限が決められています。最短の論文はどのくらいだったか記されたサイトを知りました。
論文のアブストは、突き詰めるとここまで短くなる
どうやら、論文タイトルを疑問形にするのが、この手の短い抄録を作るポイントみたいです。医学論文では、“structured abstract” という形式で書かれることが多いので、なかなか機会がないかもしれませんが、チャンスがあれば一度試してみるのも面白いかもしれません。
②英文校正会社
私が初めて英文校正を受けた時、医局の先輩に聞いて使った英文校正会社の英文が気に入らず、金を払った上で別の英文校正会社に頼みなおす羽目になりました。その時、会社によって結構クオリティやスピードに差があることを知りました。最近、比較したサイトがあることを知ったので、紹介します。
研究者のための英文校正比較
③剽窃チェック
小保方騒動で、論文の文章が過去の論文の盗用である「コピペ論文」が注目を集めました。ところが、2~3行程度なら書いた文章が意図せず過去の論文と似ていることもありえますし、そのことで剽窃の疑いをかけられるのはつまらないことです。
それを防ぐために剽窃チェックソフトが市販されていますが、結構な値段します。
私がいつも英文校正でお世話になっているエディテージ社が、剽窃チェックサービスを始めたらしいです。小保方騒動はこんなビジネスを生み出していたのですね。
論文剽窃チェックサービス
神経内科では、脳梗塞の二次予防によく抗血小板薬を使います。具体的にアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールといった薬剤です。
さて、2014年8月5日に、アスピリンを内服することによる癌予防効果が副作用を上回るかもしれないという、興味深い論文が発表されました。
Estimates of benefits and harms of prophylactic use of aspirin in the general population
論文によると、75~325 mgのアスピリンを 5年以上飲むと、メリットがデメリットを上回るらしいです。50~65歳に限っていえば、10年間アスピリンを内服することで、15年あたりの癌、心筋梗塞または脳卒中患者が、相対リスクで 7% (女性)/9% (男性) 減少し、20年間あたりの死亡が、相対リスクで 4%減少するという結果だったそうです。
アスピリンは、大腸癌の予防や乳癌の再発予防においてもいくつか知見が出ているみたいですし、面白いですね。
今年は、9月16~22日に1週間の夏休みをとったのですが、15日と 23日が休日ということもあり、長い休みとなりました。そこで、ドイツに行ってこようと考えています。
今回の目玉は、ベルリン・フィル 4夜連続!作曲家の酒井健治氏らを始め、私の知り合いの音楽家達も何名かいらっしゃるそうで、予定を合わせて会いたいと思っています。
酒井健治氏は、8月17日の「グッと!地球便」でドキュメンタリー番組を組まれています。
#298ドイツ/ベルリン 8月17日(日)10:25~
ドイツ・ベルリンで現代音楽の作曲家として活動する酒井健治さん(37)と、日本の家族をつなぐ。6歳でピアノを始め、8歳の時に初めて曲を作り、高校生の時には作曲で生きていく決意をした健治さん。音楽プロデューサーを目指して大学の作曲科へ進んだが、彼を魅了したのは、そこで出会った現代音楽だった。その後、フランス・パリの国立高等音楽院に留学し、卒業後は作曲家としてフランス中心に活動していた。そんな彼を一躍有名にしたのは、世界3大音楽コンクールのひとつ「エリザベート王妃国際音楽コンクール」。2012年に作曲部門でグランプリを獲得し、各国から作曲の依頼が舞い込むようになった。そんな健治さんは今春、ベルリンに拠点を移して活動を始めた。彼の曲作りは楽器を一切使わず、ひたすら五線紙に音を記していくというデスクワークのようなスタイル。だが彼の頭の中には大編成オーケストラのハーモニーが響いているという。昔から脈々と続くクラシック音楽が発展した形の現代音楽。「過去の音楽とどう向き合って新しいものを作り出すのか。言葉で表現できないことを音楽で表していきたい」と健治さんはいう。簡単には理解しがたい芸術の世界に生きる健治さんに、日本の母から届けられたものとは?
この番組の取材班は、パリの成田達輝氏のところまで取材に行ったらしく、成田達輝氏も登場するという話を聞きました。関西方面のみのオンエアらしく、見られないのが残念です。ただ、番組サイトを見ると、オンデマンドサービスをしているようなので、後日 PCで見られそうです。
ドイツの予定は、次の通りです。今回は音楽三昧にしました。あと 1ヶ月、楽しみです♪
2014年ドイツ旅行
9月14日 (日) Swissotel Dresden Am Schloss泊
成田空港→ フランクフルト空港→ドレスデン空港
9月15日 (月) Swissotel Dresden Am Schloss泊
ドニゼッティ@ドレスデン
9月16日 (火) Novotel Leipzig city
カルテット@ライプツィヒ
9月17日 (水) Scandic Berlin Potsdamer Platz泊
椿姫@ベルリン
9月18日 (木) Scandic Berlin Potsdamer Platz泊
ベルリン・フィル
9月19日 (金) Scandic Berlin Potsdamer Platz泊
ベルリン・フィル
9月20日 (土) Scandic Berlin Potsdamer Platz泊
ベルリン・フィル
9月21日 (日) Scandic Berlin Potsdamer Platz泊
コンツェルトハウス・オーケストラ
ベルリン・フィル
9月22日 (月) ベルリン発
パーキンソン病の患者さんに、よく「進行を止められませんか?」と聞かれますが、残念ながら現在の医学では難しいと答えざるをえません。そんな中、ある研究で期待させる結果がでました。それは、α-シヌクレインに対するワクチン治療です。
First Clinical Data of Therapeutic Parkinson’s Disease Vaccine Encourages Continued Development
概要:ワクチンの認容性を調べるための第一相試験 [AFF008]。PD01A 15 µg および 75 µg群、各12名で 12ヶ月間観察した。被検者は、1ヶ月間隔で 4回のワクチン接種を受け、全員が完遂した。結果、一次エンドポイントである安全性と認容性が確認された。また、二次エンドポイントは α-シヌクレイン特異的抗体の産生であったが、半数の患者で血清に抗体が確認された。加えて、髄液でも抗体は検出できた。臨床経過の解析では、ワクチン接種群はコントロール群と比べて、機能的な進行の抑制がみられた。
孤発性パーキンソン病は、凝集した α-シヌクレインが神経死を引き起こすことが、原因として有力とされる仮説です。まだ第一相試験なので情報は不十分ですが、このワクチンは機序的には十分期待できます。その他にも、α-シヌクレインが関係していると考えられるLewy小体病、多系統萎縮症といった α-synucleinopathyといわれる疾患群にも効果があるのかどうか、夢が膨らみます。
ちなみに、このワクチンが FDAに認可されるのには、あと 6~8年かかる見込みだそうです。
STAP細胞に関する論文疑惑で渦中に合った笹井芳樹氏が亡くなりました。お悔やみを申し上げます。
笹井氏の死について、科学者の小野昌弘氏が胸に刺さる詩を書いています。
科学者の死
亡くなるまで知りませんでしたが、笹井氏は、昔医師として筋萎縮性側索硬化症や脊髄小脳変性症の患者さんの診療にあたっていたそうです。臨床現場でこうした疾患を診て、なんとかしたいという思いが基礎医学の研究を始めるモチベーションになるのは、昔の私もそうだったのでよくわかります。私の場合は、才能と努力の問題で、彼のようにずっと基礎医学を続けることにはなりませんでしたが。
笹井芳樹博士が語った「これまでの道のり」と「再生医療の未来」
もともとは内科医だとうかがっています。
──1980年代後半に研修医として,大学病院ではなく臨床の最前線だった病院に入りました。これからの医学に必要なことを肌で感じたいと思ったのです。
当時,脳のようすを撮影できるCTやMRIが通常の診療にも使えるようになり,高精度で診断できる病気がふえていました。ですが,神経の難病には,治療法や特効薬はないものが多かった。たとえば,いずれも運動障害がおきるALS(筋萎縮性側索硬化症)や脊髄小脳変性症などの患者さんも担当しました。そうしたなかで,体の中で脳がいちばんわかっておらず,脳がいたんだときの病気はいたましいことを知ったのです。なぜ基礎研究をはじめたのですか?
──治療法を探るにしても,臨床医として研究できる範囲は限られると思ったことが一つです。また当時,脳の神経細胞ではたらく遺伝子の機能を,ごくわずかな細胞からでも調べることのできる分子神経生物学がちょうどはじまったころでした。これは革新的かもしれないと思い,大学院に進んで研究をはじめました。
笹井氏がどれほどまでに優れた研究をしてきたかは、下記のサイトで初めて知りました。科学界にとっては大きな損失です。
笹井芳樹博士が科学界に遺した、偉大な業績まとめ
さて、今回取り上げたいのは、彼の死に関する報道です。自殺を大きく報道すればするほど自殺率が上がるなどとする説が知られてます。ウェルテル効果というらしいです。そして自殺の連鎖を防ぐため、内閣府のサイトでは、WHOガイドラインを紹介しています。
自殺予防 メディア関係者のための手引き(2008年改訂版日本語版)
ところが、今回の笹井芳樹氏の件では、この WHOガイドラインに反して、自殺の具体的な場所や手段までもが、大手メディアにより繰り返し報道されました。そこで、私の知人が NHKを始め多くの報道機関に抗議文を送っています。今後は適正な報道がなされるようになることを願ってやみません。
プリオン病の一つであるクロイツフェルト・ヤコブ病は、急速に進行する認知症症状やミオクローヌスの存在、あるいは頭部MRIでの拡散強調像高信号域、脳波での周期性同期性放電などが診断根拠になります。診断精度を高めるために、髄液 14-3-3蛋白なども測定します。しかし、髄液は高い感染性があることが知られています。医療スタッフへの感染を防ぐため、できることなら避けたいところです。
2014年8月7日の New England Journal of Medicineに、それを解決する 2本の検査法が報告されました。
①A Test for Creutzfeldt–Jakob Disease Using Nasal Brushings
②Prions in the Urine of Patients with Variant Creutzfeldt–Jakob Disease
1本目の論文は、鼻腔擦過標本を用いて RT-QuIC法 (リアルタイム撹拌変換法) を行うものです。少量の異常プリオン蛋白 (PrPCJD) に組み換えプリオン蛋白 (rPrPSen) を加えると、アミロイド線維を形成し、それが thioflavin T蛍光で検出できるそうです。髄液を用いた先行研究では、感度 80~90%, 特異度 99~100%でした。今回、著者らが安全で簡単に行える、鼻腔擦過検体で解析を行ったところ、感度 97%, 特異度 100%でした。
2本目の論文は、尿中の微量プリオンを PMCA (protein misfolding cyclic amplification) 法を用いて増幅するものです。尿を遠心分離し、得られた沈殿を transgenic mouseの 10%脳ホモジネート液に混ぜます。そして PMCA法で増幅した後、western blotを行います。この検査では、感度 92.9%, 特異度 100%でした。
こうした手法が、臨床現場に出てくるのはいつになるでしょうか、待ち遠しいです。
(参考) Novel Ways to Detect Creutzfeld-Jacob Disease?
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