我々はどこから来たのか
日経サイエンス 2014年12月号が「人類進化」特集でした。私が高校生の頃に勉強した内容が次々と覆されていて、興味深く読みました。
従来の説:最初のホミニン (ヒト属) が 440万年以上前に東アフリカに出現し、我々ホモ属が 200万年より少し前に現れた。ホミニンは 100万年より少し前まではアフリカ大陸を出ることはなく、その後になって徐々に拡散した。新しい土地に住み着く過程でユーラシア大陸にネアンデルタール人などホモ属の新種が登場。これらの種はホモ・サピエンスがアフリカを出て世界中に広がるまでの数十万年間繁栄した。ホモ・サピエンスの勢力が増すにつれて、旧人類は絶滅に追いやられた。新旧人類間に交わりはなかった。3万年前には、生き残ったホミニンはホモ・サピエンスだけになっていた。
現在わかってきたこと:ジュラブ砂漠で見つかった 700万年前の化石は、最古の人類の化石の記録を 200万年以上も伸ばし、ホミニンが西アフリカに現れた可能性を高めた。また南アフリカで見つかった 200万年近く前の化石は、ホモ属が東アフリカでなくアフリカ南部に現れた可能性を示唆している。グルジア共和国で見つかった 178万年前の化石は、ホミニンがこれまで考えられていたより数十万年前にアフリカを出発し始めたことを示している。さらに、17000年前までインドネシアに生息していた新種のホミニンが見つかった。遺伝学的研究は、現生人類とネアンデルタール人の間に混血があったことを明らかにした。非アフリカ系の人々のゲノムの最大 3%がネアンデルタール人由来とされている。デニソワ人もホモ・サピエンスとの混血があったことが確認された。デニソワ人由来の遺伝子は、チベット人が酸素が希薄な高地で生活するのを助けている。
驚くべき研究の進歩だと思います。この記事を読むまでは、ここまで定説が覆されていたのを全く知りませんでした。こういう話題に興味がある方は、是非実際に雑誌を読んでみて頂きたいと思います。この号には、ノーベル賞を受賞した中村修二氏の 1994年10月当時のインタビューも再録されています。彼がどのようにして技術的な壁を乗り越えていったかがありありと伝わってきます。