視神経炎
特発性視神経炎は、視神経脊髄炎の初発症状のことがあり、視神経炎脊髄炎で見られるような抗Aquaporin-4 (AQP-4) 抗体などが陽性になることがあります。特発性視神経炎で抗AQP-4抗体、抗Myelin-Oligodendrocyte Glycoprotein (MOG) 抗体、抗glycine receptor α1 subunit (GlyR) 抗体がどのくらい検出されたかを調べた論文が、JAMA neurology誌に掲載されていました (2014年12月15日 published online)。
Antibodies to Aquaporin 4, Myelin-Oligodendrocyte Glycoprotein, and the Glycine Receptor α1 Subunit in Patients With Isolated Optic Neuritis
51名の特発性視神経炎のうち自己抗体が検出されたのは 23名であり、そのうち抗 GlyR抗体が検出されたのが 7名いました。4名は他の抗体 (抗MOG抗体 3名、抗 AQP-4抗体 1名) との overlapで、抗 GlyR抗体単独は 3名でした。コントロール群として、視神経脊髄炎患者の中に抗 GlyR抗体陽性はいませんでしたが、多発性硬化症患者の 8%で抗 GlyR抗体が陽性でした。健常コントロール群でこれらの抗体が検出された人はいませんでした。
今回の研究における特発性視神経炎の抗体別臨床的特徴は table 1に纏められています。抗 GlyR抗体については、解析対象となった患者も少ないですし、その臨床的意義はまだよくわかっていないというのが結論のようです。
なお、抗GlyR抗体は、2013年に stiff-person症候群や筋強剛とミオクローヌスを伴う脳幹脳炎で検出された抗体です。その研究において、コントロール群の中に抗 GlyR抗体陽性かつ視神経炎を発症した患者がいたことが、今回の研究のきっかけになったそうです。
視神経炎では、今後は抗 GlyR抗体のことも考えなければいけないのですね。勉強になりました。