アスピリン、NSAIDsと結腸直腸癌リスク
以前、アスピリンの癌予防効果について書きました。2015年3月17日の JAMAに、そのテーマで遺伝学的なアプローチをした論文が掲載されました。遺伝子多型により、癌予防の恩恵を強く受ける人と、恩恵があまりない人、逆にリスクが増加してしまう人がいるようです。
Association of Aspirin and NSAID Use With Risk of Colorectal Cancer According to Genetic Variants
アスピリンや NSAIDsの常用は、常用しない場合と比較して、結腸直腸癌のリスク低下に関連していた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.69)。
rs2965667 TT genotypeを持つ人びとでは、アスピリンや NSAIDsにより結腸直腸癌のリスク低下がみられた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.66) が、稀 (4%) なTAあるいは AA genotypeを持つ人びとでは、結腸直腸癌のリスク上昇がみられた (有病率 35% vs 29%, オッズ比 1.89倍)。
rs16973225 AA genotypeを持つ人びとでは、結腸直腸癌のリスク低下がみられた (有病率 28% vs 38%, オッズ比 0.66)。しかし、より頻度の少ない (9%) ACあるいは CC genotypeを持つ人びとでは、リスクとの相関はなかった (有病率 36% vs 39%, オッズ比 0.97)。
このように、アスピリンや NSAIDsの結腸直腸癌に対するリスク減少は、rs2965667 (chromosome 12p12.3) や 16973225 (chromosome 15q25.2) 遺伝子多型の影響を受けるようです。将来、こういう遺伝子多型をチェックしてから薬の選択をする時代がくるのでしょうか。
ちなみに、先行研究では、PIK3CA変異があると、アスピリンの恩恵をうけやすいことが示されているそうです。