Bagpipe
バグパイプ内で増殖した菌で管楽器奏者が死亡したという報道がありました。
バグパイプ内の菌で男性死亡? 管楽器奏者に警鐘
AFP=時事 8月24日(水)6時52分配信
AFP=時事】英国で、バグパイプの内部に繁殖していた菌を吸い込み続けた男性が死亡した事例が報告された。報告を行った医師らは管楽器奏者に対し、楽器を定期的に掃除するよう呼び掛けている。
英医学誌「ソラックス(Thorax)」に掲載された記事によると、死亡した61歳の男性は毎日バグパイプを演奏しており、7年間にわたり乾性のせきと息苦しさに悩まされていた。
だが、バグパイプを自宅に置いてオーストラリアへ3か月間旅行に出掛けた際だけ、症状が急速に緩和されたという。
これを受けて主治医らがバグパイプ内を調べたところ、湿気のこもった留気袋や音管、マウスピースに、多様な菌類が繁殖していたことが分かった。
男性は治療のかいなく2014年10月に死亡。検視の結果、肺には重度の損傷が見つかった。
菌類を吸い込んだバグパイプ奏者の死亡例は、この男性が初めてとみられる。男性が患っていた過敏性肺炎の原因は、この菌だった可能性があるという。
記事では、「管楽器奏者は、楽器を定期的に清掃することの重要性と、その潜在リスクについて認識する必要がある」と警鐘を鳴らしている。【翻訳編集】 AFPBB News
実際の論文は下記になります。
Bagpipe lung; a new type of interstitial lung disease?
バグパイプの中から検出された真菌は、”Paecilomyces variotti, Fusarium oxysporum, Penicillium species, Rhodotorula mucilaginosa, Trichosporon mucoides, pink yeast and Exophiala dermatitidis” でした。論文にある figureをみると、「うわーっ、やばい」という感じが伝わってきます。
ちなみに、今回検出された菌の多くは、過敏性肺炎の起因菌としてこれまで報告されているもののようです。そのため、これらの真菌を慢性的に吸入していたことが、過敏性肺炎の引き金になったのではないかと推測されています。
論文の考察には、サクソフォン奏者とトロンボーン奏者での真菌による過敏性肺炎の症例が引用されています。サクソフォンの症例では、”Ulocladium botrytis” と “Phoma sp” がサクソフォンから検出され、これらの真菌に対する血清特異的抗体が陽性でした。トロンボーンの症例では、たくさんの “Mycobacterium chelonaeabscessus group” 、”Fusarium sp (真菌)”、それとわずかな “Stenotrophomonas maltophilia” 及び大腸菌が培養されたようです。トロンボーンの報告中に、さらに 7名の金管楽器奏者の楽器からの培養結果が表として纏められていて、その菌の多さにビックリします。
こういう報告を読むと、金管楽器が菌管楽器とならないように、持ち主はきちんとした手入れが大事ですね。ちなみに、私の知り合いは、”bagpipeじゃなくて bugpipeだな” って言っていました。誰ウマ。