パーキンソン病と iPS

By , 2017年2月4日 10:48 AM

ついにパーキンソン病に対する iPS治療の臨床試験が始まりそうですね。

パーキンソン病を他人のiPSで治療 京大研究所、30年度治験開始へ

産経新聞 2/4(土) 7:55配信

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったパーキンソン病の治療を研究している京都大iPS細胞研究所(CiRA(サイラ))の高橋淳教授は3日、他人の細胞から作ったiPS細胞による治療の実用化へ向け、平成30年度の治験開始を目指すことを明らかにした。

他人由来のiPS細胞をめぐっては、理化学研究所などによる網膜移植の臨床研究について厚生労働省が了承。厚労相が2日付で通知している。

高橋教授によると、拒絶反応が起きにくい免疫型を持つ健常者の血液からあらかじめ作製し、ストックしていたCiRAの再生医療用のiPS細胞を使用。今後の実用化段階では、iPS細胞から作製した神経前駆細胞を、パーキンソン病患者の脳内に注入して移植する方法で手術を行う。

CiRAでは、患者自身のiPS細胞を使った臨床研究も検討したが、高橋教授は「患者自身のiPS細胞を使用する計画は、コストや時間のめどがたたなかった」と説明。結果的に、他人のiPS細胞を使う方が実用化への早道になると判断したという。

また、ストック細胞を使うことで費用や移植までの期間が縮減できることが期待され、高橋教授は治療費を数百万円レベルに抑えることを目標とした。

計画では、国から医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく承認を得られれば、大日本住友製薬(大阪市)がiPS細胞由来の神経細胞を再生医療用に製品化する方針。

2015年5月の神経学会総会で、「2015年中の臨床試験を目指す」という発表があった話は、昔ブログで書きました。その後、なかなか臨床試験の話が聞こえてこないので、2016年秋の神経学会東北地方会前日の講演で、高橋教授にどうなっているのか質問しました。そうすると、「患者から iPS細胞を作成して移植する (=自家移植) のはコストがかかりすぎるので、他人由来の iPS細胞を使うことにした (=他家移植) ため、追加での研究が必要になっている」とのことでした。具体的には、他人由来の細胞だと免疫抑制をどうするかというのが重要になってくるようです。個人的に聞いたことなのでブログには書かずにいたのですが、ついに報道されました。

患者さんからは、「iPS治療をすればパーキンソン病は治るのか」と聞かれることが多いのですが、治療効果はあるにしても、それで完治というわけではなく、薬物療法やリハビリなども継続していく必要はありそうです。

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