第2回抄読会
4月6日に、有志で第2回抄読会を開きました。
私が選んだ論文は、「Cambell WW. Statin Myopathy: The iceberg or its tip?. Muscle Nerve 34: 387-390, 2006」でした。
この論文は、Statinの総論に触れた後、最近問題になっている自己免疫疾患との関係について述べています。Statinには Th2 shift作用があります。いくつかの機序による免疫系への影響、抗炎症作用、催炎症作用などが絡まり合い、pleiotopic effectは予想困難ですが、関節リウマチやSLE、多発性硬化症などの改善作用がある一方、重症筋無力症を悪化させるリスクなどが示唆されています。
また、Statin Neuropathyが Statin Myopathy同等に存在するとする報告があり、否定的な見解も多いのですが、新婚の K先生が最近経験したと教えてくれました。
論文の主旨としては、現在では Statin Myopathyが副作用の主体であるが、Statin Neuropathyや他の神経筋合併症が明らかになってくるならば、Statin Myopathyは副作用として氷山の一角に過ぎないのではないか?とのことでした。
途中、「Lipid raft」などに言及した部分があり、良くわからなかったので、郡山時代の同僚にメールを送り、色々教えて頂きました。その後、「細胞内物質輸送のダイナミズム (米田悦啓、中野明彦共編、Springer出版)」の該当部分を読み、理解することが出来ました。
電気生理検査専門の I先生は、Fasciculationの Originについて調べてきました。以前は前角細胞由来とされていましたが、FasciculationもF波を持つことがわかり、末梢由来だと考えられるようになり、Cancelationを利用した実験で、8割は末梢由来だとする報告も出てきました (Rothら)。一方で、中枢由来とする報告 (幸原ら)も存在し、諸説あるようです。ALSの患者の下痢にワゴスチグミンが有効であった経験や、ALSの電気生理検査でしばしば疲労現象が見られることから、テンシロンテストを行って呼吸機能を評価したらどうなるだろうか?などと議論が盛り上がりました。
K先生は「Ash S, et al. Trying to tell a tale: Discourse impairments in progressive aphasia and frontotemporal dementia. Neurology 66: 1405-1413, 2006」を紹介しました。Frontotemporal dementiaの中に、PNFA (progressive nonfluent aphasia)やSemD (semantic dementia)、SOC/EXEC (social comportment and executive functioning)といった病型がありそれを検討した論文です。私も読みたいと思って手元に持っていましたが、読まずにいたので、良い機会になったと思います。SOC/EXEC患者では、物語の全体像が見えないという障害があります。一方で、病人ではなくても、資料を渡したときに全体をパラパラと眺めて把握してから読み始める人と、最初から一字一句追って読み始めて全体を把握出来ない人がいるので、もともとの病前の傾向はどうなのだろうかと感じました。
抄読会が終わってから、例によって朝まで飲み会・・・。