STAP
2014年1月29日のこと・・・。ふと「神経疾患についての iPS細胞の研究の現状を調べてみようかな」と思い、「まずは山中先生の研究からだろう」と考えて、2006年の Cell論文を読み始めました (実はまだ読んでなかった (^_^;))。
Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors
門外漢にとっては難解過ぎたので、”iPS細胞って何?” というブログ記事と照らし合わせながら読みました。如何にして 24因子から 4因子に絞り込んでいったかという話が、面白かったです。読んでいてワクワクする論文でした。
そして、翌1月30日。STAP (stimulus-triggered acquisition of pluripotency) の Nature論文が大きなニュースになっていて驚きました。
Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency
Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency
こちらも難解だったので、”体細胞の多能性への刺激惹起性運命変換” というブログ記事を参考にしました。弱酸性, 37℃, 30分だけが話題になっていますが、生後 1ヶ月のマウス細胞、DMEM/F12培地による数日間の浮遊培養という前処理という点には注意ですね。我々が弱酸性の石鹸で体を洗おうが、弱酸性の温泉に入ろうが、細胞の多能性が誘導されるわけではありません。
ハーバード大でサルで実験中との報告もありますので、論文の内容の信憑性は高いでしょう (※再現性のとれない科学研究も多々あるので注意が必要)。
新万能細胞、サルの治療で実験中…ハーバード大
【ワシントン=中島達雄】細胞に強い刺激を与えただけで作製できる新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の開発に理化学研究所と共にかかわった米ハーバード大の研究チームが、脊髄損傷で下半身が不自由になったサルを治療する実験を進めていることを30日明らかにした。
研究チームの同大医学部・小島宏司医師によると、脊髄損傷で足や尾が動かなくなったサルの細胞を採取し、STAP細胞を作製、これをサルの背中に移植したところ、サルが足や尾を動かせるようになったという。
現在、データを整理して学術論文にまとめている段階だという。研究チームは、人間の赤ちゃんの皮膚からSTAP細胞を作る実験にも着手。得られた細胞の能力はまだ確認中だが、形や色はマウスから得たSTAP細胞によく似ているという。
(2014年1月30日14時37分 読売新聞)
すでに特許も出願中のようです。この点は抜かりありません。
発明者に小保方さんの名も、既に国際特許出願
「STAP細胞」の作製に成功した理化学研究所などが国際特許をすでに出願していることが30日、わかった。
今後、再生医療への応用などを目指した国際的な知財競争が激化することが予想され、今回の特許がどのような形で認定されるかが注目される。
国際特許は、理研と東京女子医科大、米ハーバード大の関連病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院の3施設が合同で米当局に出願。2012年4月から手続きを始め、昨年4月に出願した。発明者には、小保方晴子・理研ユニットリーダー(30)ら7人が名前を連ねている。
出願内容は「ストレスを与えることで、多能性細胞を作製する手法」。iPS細胞(人工多能性幹細胞)のように、外部から遺伝子を導入したり、たんぱく質などを加えたりしなくても、皮膚のような体細胞が、多能性細胞に変化することを示した。ただ、最終的に特許当局にどこまで権利範囲が認められるかは分からない。
(2014年1月30日16時02分 読売新聞)
しかし困ったことに、報道が過熱し、小保方氏は細胞リプログラミングユニットのサイトで、”報道関係者の皆様へのお願い” を出すことになりました。論文が出た瞬間、世界中の研究者が追試をして、競争が激化します。小保方氏を追い回して足を引っ張るのではなく、研究に専念させてあげるのが重要だと思います。研究者にとって最も大事なのは、”研究資金” と “研究のための時間” です。
みぐのすけ:膣の中って、37℃、酸性でしょ?STAP細胞できるんじゃね?A医師:何言ってるんですか、STAPどころか一切の培養操作なしで人体丸ごと発生しますよ。みぐのすけ:すげー、natureに報告しようかな!A医師:何言ってるんですか、報告も何もnatureの摂理ですよ。B医師:ねーちゃんと報告してください。親に。