アルツハイマー病の伝播 続報
2015年11月22日、死体由来のヒト成長ホルモンを介したアミロイドβ (アルツハイマー病で脳に沈着する蛋白質) の伝播について書きました。
アルツハイマー病の伝播
2016年1月26日の Nature Newsに続報が出ていました。スイス、オーストリアからの報告を紹介したものです。
More evidence emerges for ‘transmissible Alzheimer’s’ theory
硬膜移植を受け、それが原因で数十年後にクロイツフェルト・ヤコブ病で死亡した患者の剖検脳において、プリオン蛋白に加えて灰白質や血管壁にアミロイドβのプラークが見つかりました。患者らは 28~63歳の患者であり、若者では通常このようなプラークはみられません。硬膜移植を受けず孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病で死亡した患者たちではこのアミロイドβの沈着はみられませんでした。
気がかりなニュースではありますが、普通の接触で伝播するということはなさそうですし、現在ではヒト死体由来の成長ホルモンや人工硬膜は使用していません。しかし、もしこの仮説が本当なら、手術器具を介した感染をどう予防するかなどの問題が生じるようです。
今後の研究を見守りたいと思います。