入れる、締める、叩く!
以前、敗血症の定義が変わる話を書きました。簡単に触れただけでしたが。
敗血症の再定義
今回、週刊医学界新聞に、詳しい解説記事が出ました。書いたのは、知人の 2人です。
非常に勉強になる記事ですので、是非読んでください。敗血症研究の歴史、旧基準や新基準の問題点などを絡め、わかりやすく書かれています。
私は 2015年末に秋田県 (※お世話になった先生が勤める医師不足の病院に、毎月お手伝いに行っているのです。一人で全科当直してます。) で行った 4回の当直のうち、3回でショック患者の対応をしました。一人は旧基準での敗血症性ショック、二人目は消化管出血によるショック、三人目は慢性腎不全に鎮痛薬 (NSAIDs) を内服していたら腎不全が悪化し、カリウム保持性利尿薬の効果が強く出て、血清カリウム 7台というショックでした。
私のような神経内科医でも特にパニックになることなくショック患者の治療に当たれるのは、初期研修医の頃の指導医の言葉があるからです。
私は初めてショック患者を診た時、頭が真っ白になってオタオタしてしまい、他科の医師に助けられました。そのことを救命センターの指導医に告げたら、次の言葉を教わりました。
ショック患者を見たら、女を思い出せ!
「入れる (十分量の輸液を入れる)」
「締める/絞める (血管収縮薬を使う)」
「叩く (強心薬を使って心臓を働かせる)」
だ!
ショック治療の原則を押さえた、シンプルで非常に覚えやすい言葉です。女を思い浮かべて「入れる!締める!叩く!」。頭が真っ白になっても忘れませんね。とても有用なので、自分が指導医になって女性研修医を指導するときに、ニタニタしながらこの言葉を教えています。
順番も大事で、最初に「入れる」です。入れるだけで o.k. のことも多々あります。先に血管収縮薬や強心薬を入れると、心臓を空打ちさせて負担をかけてしまいます。女性も後 2つが先だと、入れさせてもらえな (自粛
もうワンランク上の診療のために、下記のブログ記事も読んでおきましょう。
・Surviving Sepsis Campaign 2012 :日本語訳