ルツェルン旅行(2005年9月13日〜9月19日)

ウィーン第1日目

 ルツェルンから次の目的地はウィーンである。飛行機は、12時30分チューリッヒ発。 チケットを取ってあるので、乗り遅れるわけにはいかない。 早起きして、それでも朝食はしっかりとって、ルツェルン駅に向かう。 「2.KL.」と印刷された切符を自動販売機で購入して、電車に乗り込む。今度はしっかりと2等席と確認して座る。 チューリッヒからルツェルンに来た時と逆に景色をたどりながら、電車は進み、見慣れた町並みの中を通ってチューリッヒ駅に着いた。

 チューリッヒ駅で、時間がかなり余っていることを確認し、町中で喫茶店でもないかと散策してみたが、 せいぜい目に入るのはマクドナルドくらい。仕方なく駅に戻り、ホーム脇の売店兼バーで、ワインを 飲む。感傷に浸りながら時間を潰すと、空港行きの電車に乗り込んだ。

 チューリッヒ空港から、ウィーン空港までは、飛行機で約1時間半。 眼下に美しい自然を見ながら、飛行機は進む。高所恐怖症の私も、「こんな景色の中で 墜落するなら、ここで死んでも良いな」と思いながら、恐怖心を打ち消す。

 ウィーン空港から、Wien Mitte駅へは電車で1本だが、駅を降りてからホテルまでが遠かった。 駅はシュテファン寺院の近くで、そこから凸凹に舗装された道をスーツケースを押しながら歩くと、 ガタガタと疲れた。ホテルは、昨年コンサートを聴いた後食事をしたレストランのすぐ近所、「ASTORIA」という名前。 受付の女性が非常に美人だ。何か良いことがありそうな予感がする。ホテルのエレベーターはとても面白くて、 鉄骨が外から見てむき出しになっている。その鉄骨を囲むように階段があり、階段からエレベーターは手を伸ばせば 届きそうである。ホテル自体は、歴史ある建物のようだ。

 220号室に荷物を置くと、早速散策である。「Staatsoper」のチケット屋で室内楽のコンサートを探したが、残念ながら 見つけることは出来なかった。近くのCDショップ「HMV」のチケットセンターで探したがやはり見つからず。 仕方ないので、「Staatsoper」の立ち見席に並ぶ。それほど並ぶことなく、チケットを入手することが出来た。 なんと、チケットは約500円。最初は、何かの間違いかと思ったくらいである。

 今日の演目は「バラの騎士(R.シュトラウス)」。有名なオペラではあるが、実際に鑑賞するのが初めて だったため、ガイドブックを購入する。ガイドブックにはドイツ語の他に日本語であらすじが書いてあり、重宝する。 オペラ場内のBarで、スパークリングを飲んで、ストーリーを予習する。

 2階正面後部の立ち見席に戻ると、オペラの幕が開いた。モーツァルトのオペラなどに比べると、 入り込みにくい音楽である。調性感やリズム感のもっとはっきりした音楽の方が、オペラとしては 馴染みやすいと思うのだが・・・と考えていると、えらく退屈になってきた。 残念ながら、このオペラは私には合わないらしい。R.シュトラウスという作曲家は、「ドンキホーテ」、 コンサートマスターにとっての難曲「英雄の生涯」などの名曲を残しているが、 普段あまり聴くことがなく、聞き慣れていないことも入り込みにくい原因となっているのかもしれない。

 さて、私は元来長時間立っていることは苦手である。医学的には「神経調節性失神」というが、 一般で言う「脳貧血」を起こしやすい。実は神経内科医として、普段そういう患者を診察していたりも するのだが、しばしば誘因となりやすいのが、「アルコール」なのである。ここまで、多少アルコールを いくらか飲んで、幕間に更に数杯飲んだことで、意識がボーっとしてきた。 そこに理解を超えた音楽である。「It's beyond me!」という英語が頭に浮かび、頭がクラクラしてきた。 周りを見渡すと、係員席が空いていて、そこに何人か一般人が座っている。 幸い席が一つ空いていて、お邪魔することとした。

 座って音楽を聴いていると、なにやら眠くなってきて、爆睡モードへ。 演奏終了とともに目が覚め、カーテンコールの合間に外に出た。 結局、寝に行ったようなものであった。格安で見られたのが唯一の救いか。

 長々としたオペラで、終了時刻には空いているレストランは見あたらず、 空腹のままベッドへ。明日は、ウィーンに来た目的の場所に行く予定だ。


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