ルツェルン旅行(2005年9月13日〜9月19日)

ウィーン第2日目

 ウィーンに来た目的。それは、墓地巡りである。フランスのペールラシェーズという 墓地を巡って書かれた岩田誠教授の名著「ペールラシェーズの医学者達」という本に 影響を受けた部分がある。

 今日は比較的時間に余裕があるので、遅めに目覚ましをセットしてあったが、 それでも割と早く目覚めてしまった。テレビをつけてみると、 アフガニスタンの選挙と、ドイツの選挙のニュースをしていた。 ヨーロッパに来てからこのニュースは連日放送されているが、 どのニュースでも、「election」といえばアフガニスタンの選挙を指し、 「vote」といえばドイツの選挙を指していた。 ドイツの選挙は視聴者が投票するので「vote」と表現していたのだろうが、 使い方に一貫性があって、わかりやすい。しばらくニュースを見ていた。

 ホテルのレストランはとても混んでいて、朝食をしようにもテーブルが空いていない。 部屋に戻り、シャワーを浴びると、再びレストランへ向かった。 今回の旅行で一番遅い朝食だ。

 レストランは相変わらず混んでいたが、何とか座ることが出来た。 従業員たちは、とても忙しそうにしていて、テーブルメークもされていなかったが、 バイキング形式であることを幸いに、さっさと食事を始めた。 徐々に客が減るまでは、皿の片づけだけで手一杯な様子だったが、 従業員のサービスも、最終的には悪くなかった。

 食後のコーヒーを飲んだ後は、ウィーン大学が目的地だ。 ウィーン大学は初めてウィーンに来た時も訪れたが、一つ心残りだったのが Theodor Billrothが世界で初めて胃癌の手術を行った時に 摘出した胃の検体を見ることが出来なかったことだ。 ブラームスとビルロートは親友で、ブラームスの書簡集を読んでいてもビルロートの名前は時々登場する。 それ以前に、ビルロートは医学を志す人間にとっても憧れの人の一人だ。 ビルロートは弦楽四重奏を作曲したことがあるが、「我が身を恥じて」最終的に すべて破棄してしまったそうだ。もったいない・・・。

 日大時代の友人の話を聞くと、ビルロートの摘出した胃を見る方法があるとのこと。 ウイーン大学で関係者を見つけて聞くつもりで、雨の中を出かけた。

 最初は「Burgring」、「Dr. K-Rennner-Dr. K. Leuger Ring」と歩いていたものの、 雨脚が強くなり、路面電車に乗ったものの、乗り過ごしてまた戻る羽目となった。 そして、雨の中目標の大学にたどり着くと、間の悪いことに工事中。 金網の隙間から受付に行くと、中で事務員が働いていた。

 「日本から見学に来たんだけど」と話しかけると、「残念だけど、9月一杯は改装工事中なんだ」 と。カビくさいコンクリートの粉塵の中をひとしきりさまよい、諦めをつけると 大学から外に出た。外は豪雨に近く、もちろん帰りは路面電車である。

 一旦ホテルに戻り、浴室のタオルで濡れた体を拭き、新しい服に着替えると、 ウィーン共同墓地に向かうことにした。。 墓地に行くのに、そこまで気合いを入れることもないとも感じつつ、 気分は高揚している。

 愛する楽器にも、一緒に墓参りをさせてあげたくて、連れて行くことにした。 だが、外が土砂降りなので、ホテル近くの土産物屋でまず傘を購入。 「中央墓地」に行くには、市電71線が便利だ。ホテル近くのKarsplatzのすぐ傍から 乗れる。電車は郊外に向けて走り出す。郊外とはいえ、思ったほど田舎ではない。 ハイリゲンシュタットと同じくらいだろうか。 電車には乗る人も少なく、安心して座って景色を堪能できた。 市街中心部で電車に乗るのと違って、生活感のある雰囲気の乗客が多い。

 「Zentralfriedhof2. Tor」で下車すると、そこは中央墓地のすぐ前だった。 中央墓地はかなり広く、市電を利用するにしても、目的とする墓によって降りる駅が違う程だ。 「Zentralfriedhof2. Tor」は丁度真ん中辺りになる。

 門を入って左に曲がって軽く散策してみた。が、肝心の音楽家達の墓地の区画とは違うようである。 門まで戻って、守衛さんに場所を聞いて、今度は門からまっすぐ歩く。途中右手に「MUSIKER」と 書かれた看板があり、ここを左に曲がると、ベートーヴェンとシューベルトの墓が並んでいる。 すぐ近くには、ヨハン・シュトラウスの墓もある。少し区画は離れるが、 ブラームスの墓があり、すぐ近くにビルロートの墓がある。 一通り心の中でお祈りを捧げて、墓地を散策していた。雨は強かったが、 何とかケッヘルの墓も発見。ケッヘルは、モーツァルトの作品を整理した人物で、 彼によって、モーツァルト作品は「ケッヘル○○番」という名前がふられている。

 ホテルに戻ると、「Rotenturm strasse」近くで、土産のバッグと、 財布を購入。安物だったが、結構おしゃれで、良い買い物だったと思う。

 夜は、「ホイリゲ」にでも出かけて美味しいワインを飲もうかと思ったが、翌日は朝早い。 ホテル近くのレストランで食事をすることとした。 「ISCHLER ALM」という大衆レストランだ。ハンガリー料理の「グヤーシュ」を 注文し、ワインを頼む。もう一品注文しようとすると、店員が「グヤーシュは量が多いから、 全部食べてから次を頼んだら?」と助言してくれた。 ワインが美味しくがぶ飲みしながら、グヤーシュを完食すると、次の料理を頼む。 グヤーシュといっても、店によって全然違う。普通のスープみたいだったり、ハヤシライスのように ライスと一緒だったり・・・。何はともあれ、今日はも酔っぱらって寝るだけだ。 思い残すことがないようにワインを飲み、腹一杯食べて、ホテルに戻った。


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