時差ぼけのせいか、精神が高ぶっていたせいか、午前 2時に起床。かといって、とりたててやることはない。読書をして、ベッドの上でゴロゴロする。
学会初日はあいにくの雨。ワルシャワに引き続いて、クラクフでも折りたたみ式の傘が活躍する。ヤギェボ大学医学部の施設である学会場に余裕を持って移動。ヤギェボ大学は広く、構内でコペルニクスの銅像なんかも見つけた。ただ、施設が多すぎて目指す学会場がどこにあるのかわからない。学会場に着けないのでは来た意味がない。大学の中心的な施設っぽいところに行って、医事課らしいところに勝手に入って、「ESNRに来ました。場所を教えてください」と聞いてみたが、「はぁ?」という反応。一応国際学会なのに何たる関心の低さ。まぁ、事務員には関係ないのだろうか。
場所を書いた紙を私が持っていなかったため、事務員は親切にインターネットで調べ、道を教えてくれた。国際学会に行くのに場所も調べずにいくなんて、全く信じられない話だが、前年もこの年もそうだったのだ。ショパンの家だとか、美術館だとかはしっかり調べているくせにね!
学会で registrationしてポスターの出来映えをチェックしに行く。この年のポスター発表は、on lineで予め PDF ファイルを送ってそれを展示する形式だったので、荷物がなくて非常に楽だった。ただ表示するパソコンは自宅のパソコンと違うので、機種の違いでレイアウトが変わってしまってないかチェックは必要だ。
チェックを終えて講堂に移動。知り合いの教授の講演を聴いていたら、突然話しかけられてびっくり。声の主は、私が学生・研修医時代の放射線科の教授だった。私が研修を終えて大学を移ったため、6年ぶりくらいの再会となった。それもクラクフで。講演を終えて Coffee breakしながら、色々と近況を話し合った。教授はヨーロッパの別の学会から足を伸ばしていらしたのだそうだ。もう定年なのに、何歳になっても勉強熱心であることに感銘を受けた。
午後の講演は脳腫瘍や脳動脈瘤などで、脳神経外科の領域だ。神経内科医には馴染みの薄い分野なので、クラクフ散策することとした。
まず中央市場を抜け、バルバカンという要塞のほとりにあるフロリアンスカ門を抜けてホテルに戻り、荷物を置いた。訪れたのはチャルトリスキ美術館。ここの最大のウリはレオナルド・ダ・ヴィンチ作の「白貂を抱く貴婦人」である。レオナルド・ダ・ヴィンチの油絵ポートレートは世界に3枚しか残っていないらしい。そのコピーの絵を買ってホテルに戻った。
夕方からは Welcome receptionが Franciscan Monastery (フランシスコ会修道院) であった。この修道院は 14世紀に立てられ、1850年の火災の後復元されたらしい。ステンドグラスの素敵な建物だ。中ではフルートとチェンバロの演奏が待っていた。チェンバロは素晴らしかったが、フルートは拍感がなくて、やや残念だった。
Receptionが終わってから、「Pod Aniolami」というレストランで食事会があった。周りは教授達ばかり。小さくなってワインをガブガブ飲んでいるうちに、段々気も大きくなって、会話に参加することができた。記憶に残っている話題は自動車保険の話、クラクフの観光など。紳士と淑女の会は乱れることなく終了。ホテルに戻った。