眠かったけれど、午前 6時半に起床して、7時半に先輩宅を出た。アラバマ州立大学バーミンガム校, Department of Neuromuscular diseaseの見学のためだ。神経内科と精神科の外来診療と検査のみが行われる SPARKS CENTER (それでも非常に大きな建物だ) に着くと、2階にあるレジデントルームで女物の小さい白衣に着替えた。女物の白衣を着たのは、それしか白衣が用意されていなかったからだ。4階のカンファレンスルームに行くと、Shin J. Oh教授と助教授、日本からの留学生 2名、中国からの留学生 1名、アメリカ人のレジデントが 2名いた。
カンファレンスでは、Oh教授が覗く顕微鏡画面がモニターに映しだされ、神経・筋・皮膚生検の所見が読み上げられた。Oh教授は簡単な解説をした後、マイクに向かって所見を話していた。マイクで録音された所見は、専門の職員によって文章に起こされ、レポートという形にされる。
5例くらい丁寧に見たところで、Oh教授が突然 2階にある検査室に向かった。後を追うと、20歳代の女性患者がいて、筋電計には Waxingという特徴的な所見が映っている。神経筋接合部異常を示唆し、特に Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome (LEMS) という病気で有名だ。Oh教授が患者を別の検査室に移動させるように指示し、そこで Oh教授が行う検査を見ることができた。検査自体は、運動負荷で CMAPの波形が大きくなるかというお馴染みなものだったけれど、どのくらい運動負荷をかけたらどのくらいで回復するかを念入りにチェックしていた。そのあとは、Single fiber EMGを見ることが出来た。日本だときちんとしたレポートを作るために、決められた手順に従って検査をするが、Oh教授は診断がついた時点で検査を中止してしまうのが印象的だった。
検査が終わると、またカンファレンスルームに移動して、病理所見の読影の続きが行われた。部屋が暗かったせいで、時差ボケで何度か夢を見た。カンファレンスが終わると、レジデントルームに移動となり、Oh教授がレジデントの電気生理レポートのチェックを行った。
それが終わってから、先輩と病院食堂に食事に行って、大学構内を散策した。バーミンガムは街の多くを大学施設が占めている、大学の街だ。どこまでも続く大学施設を抜けると、先輩宅に戻って仮眠を取った。時差ボケのせいで、私が傾眠傾向になっていたため、適切な処置だった。
夜は 19時くらいに Hotel Hiltonに行って、チェックインをした。Hiltonは高級そうな雰囲気だったのだけど、ネット予約したときに比較した感じでは、この近隣のホテルと比べて決して高くはない。チェックインをした後、ホテルのレストランで食事をした。ビール、ワイン、料理どれも美味しかった。治安の問題があり、夜遅くまで一緒に飲めるように、先輩もホテルに部屋をとっていてくれたので、時間を気にすることなく語り合った。例えば、この大学の話で、聞けたのは次のような内容。
酔っ払って話し尽くしたお陰で、時差ボケを修正してくれるはずの睡魔が丁度よい時間に訪れ、24時頃眠りに落ちた。