ザハール・ブロンのレッスン2

By , 2008年4月27日 12:00 AM

4月5日に紹介したザハール・ブロンのレッスン。同じシリーズで「ザハール・ブロンのレッスン ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト (AMA VERLAG GmbH 企画制作、ヤマハミュージックメディア販売)」を見ました。私も良く弾いたり聴いたりする曲ですので、興味深く見ました。扱われているのは、モーツァルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ホ短調 KV 304です。

最初に行われた生徒の演奏は、音が綺麗ですし、特におかしなことはやっていないと思ったのですが、少しせわしなさを感じました。

実際にレッスンに入ると、ブロン氏によって、如何にモーツァルトが難しいかが語られました。シンプルであることの難しさです。

生徒の演奏はフレージングが未熟であり、ブロン氏によって「メロディーの切断である」と批評され逐一直されていきます。弓の使い方がメロディーの演奏に大きな意味を持っていますが、ヴィブラートもしつこく注意されていました。ヴィブラートは TPOが大切です。

私が感じた「せわしなさ」については、「直線的に進んでいます」「君は急ぎすぎているんです」という言葉で注意されていました。

2楽章では、ギャラント様式という言葉が多用されます。ギャラント様式というのは、Wikipediaによると「多くの点でバロック様式のけばけばしさへの反撥であり、バロック音楽にくらべると、より素朴で、ごてごてと飾り立てておらず、流麗な主旋律の重視に伴い、モノフォニックなテクスチュアと、楽節構造の軽減や和声法の抑制 (トニカとドミナントの殊更な強調)、バス声部 (通奏低音)の軽視といった特徴がある」というものです。言われてみると、モーツァルトのソナタはその通りですね。ブロン氏によると、この曲はギャラント様式の中に豊かな感情や心情が入り、最後に哀しみが表現されるという解釈です。

その他に面白かったのが、音の「中膨らみ」が注意されているシーンです。音の「中膨らみ」が、ゴールドベルクによるストリング誌での誌上レッスンでしばしば注意されていたのを思い出しました。弦楽器奏者が陥りやすい音楽的な過ちの一つです。今回は、「中膨らみ」が一つの音についてでなく、一つのフレーズについて指摘されていたのが新鮮でした。

このレッスンに刺激を受け、私のモーツァルトの演奏も少し変わるかも知れません。

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