狂犬病ウイルス
四川省で先日大地震がありました。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
私は中学生くらいまで中国の歴史小説が好きで、結構読んでいました。「三国志」「水滸伝」なんて、著者別に何度か読みましたし、陳舜臣氏の「小説十八史略」や「耶律楚材 」、「中国五千年」なんてのも読んでいました。「三国志」は、「出師の表」を途中まで暗記してましたね。その「三国志」の「蜀」の国の首都が成都でした。
四川省地震の中心的な被災地の一つが成都です。地震のニュースで成都と聞く度に、三国志の記憶が甦ります。
そんな中で、被災地で感染症が流行しているとのニュースがあります。衛生状態も悪そうですし、一刻も早く解決しなければいけませんが、実際には非常に難しそうです。
四川大地震:被災地で下痢患者増加、狂犬病の恐れも
2008/05/19(月) 13:11:34更新19日付新京報によると、四川省で12日に発生した大地震の被災者で、下痢や風邪の患者が増加している。また野犬化した飼い犬に噛まれるケースも多く、医療関係者は注意を呼びかけている
都江堰市で活動する海南省から派遣された医療スタッフによると、14日に活動を開始して以来、犬に噛まれたとして治療を求める被災者が多いが手元に狂犬病のワクチンがなく、傷口を洗い消毒するだけの処置をほどこしている。
北京から派遣され〓川県で活動している医師の場合も同様で、設備の整った大病院で狂犬病ワクチンの接種を受けるよう勧めているという。(〓はさんずいに「文」)
現地では飼い主を失った犬の多くが野犬化しているとみられ、ある医師は「犬が極めて攻撃的になっている。外出時には棒などを持ち防御してほしい」と訴えた。
中国は狂犬病の発生国で、2008年3月には全国163人が発症し、151人が死亡した。狂犬病による死亡者は伝染病のうち、エイズ、肺結核とともに、上位3位に入る状態が続いており、飼い犬の野犬化で、狂犬病の発生を懸念する見方も出ている。
また、被災地では下痢患者も増加している。地震が発生してから、不衛生な水を飲んだためとみられ、成都市などでは生活区、便所、排水溝などの消毒を強化している。ただし政府発表によると、これまでに大規模な感染症は発生していない。
その他、風邪をひく被災者も多く、仮設の診療所によっては治療を求める人の3割程度が風邪と下痢によるものという。
中国では、死因としての伝染病の上位3位が、エイズ、結核、狂犬病なのだそうですが、未だに狂犬病が流行していると聞いてびっくりです。何しろ、中国では、犬のワクチン予防接種率が 0.5%なのだそうです。しかも放し飼い。地震以前に対策していないといけなかったのかもしれません。ワクチン接種のきちんとしている日本では、狂犬病に罹患することはほぼゼロなので、私は実際に診療にあたったことはありませんし、診断もつけられるかどうか・・・。水を怖がっていたら疑いますけどね。
狂犬病は致死率ほぼ100%の疾患です。そのため、なにはともあれ、ワクチン、ワクチンです。
一方で、このウイルス、神経系に必ず感染が起こることで、ウイルスを不活化して神経疾患の治療に応用しようとしているという話を聞いたことがあります。上手くいけば、必ず神経系に移行する訳ですから、不活化できれば遺伝子治療などにも応用できるのかもしれませんね。