長寿国
平均寿命が更に延びているようです。
平均寿命は男女とも過去最高
8月1日13時11分配信 医療介護CBニュース厚生労働省はこのほど、2007年の簡易生命表を発表した。日本人の平均寿命 (ゼロ歳の平均余命) は男性 79.19歳、女性 85.99歳で、いずれも 06年を上回り、過去最高となった。
簡易生命表は、厚労省が人口動態統計月報年計などを基に毎年作成している。完全生命表は、国勢調査を基に 5年ごとに作成される。
07年の平均寿命は、06年に比べ男性で 0.19歳、女性で 0.18歳延びた。各世代の平均余命を見ても、07年は 06年を上回っている。20歳の平均余命は、男性 59.66年、女性 66.22年。60歳では男性 22.54年、女性 27.92年。「後期高齢者」の入り口の 75歳では、男性 11.40年、女性 15.16年となっている。
国際的に比較すると、男性はアイスランド (79.4歳)、香港 (79.3歳) に次いで第 3位、女性は日本がトップで、2位が香港 (85.4歳) 、3位がフランス (84.1歳)だった。死因別死亡確率は、ゼロ歳の場合、悪性新生物が男性 (30.10%)、女性 (20.56%) 共に最も多く、続いて心疾患 (男性 14.67%、女性 19.16%)。脳血管疾患は男性 10.80%、女性 13.29%だった。
50歳くらいの医師と話していると言っていました。「俺らが研修医の時に、ICUで働いていて、70歳なんて患者、みんなが受け持ちたくないって言っていたんだよ。もう十分生きたからいいだろうって。それに、いろんな病気を持っていて、もう何が起こるかわからないしね。それが変わったね。高齢者ばっかりだもんね。」
現在私が今働いている病院では、神経内科入院患者の半数は80歳以上です。前述の医師は、「20年前は 60歳代の患者が多くて、10年前は 70歳代の患者が多かった。今は 80歳代が多くて、常に同じ世代の患者を診ている気がするよ」
日本人が長寿になっているのは、実感として感じられるのですが、統計としても示されています。平均寿命を規定するのに、最も大きなファクターは何なのでしょうか?
寿命の平均である平均寿命に対し、寿命の中央値を寿命中位数という。平均寿命が長い個体群では、若者(特に乳幼児)の死亡がロングテールとなり、平均寿命は寿命中位数より少し(日本では男女とも 3年程度)低い。逆に、平均寿命が短い個体群では、高齢者がロングテールとなり、平均寿命が寿命中位数より高い。
日本の場合ですと、周産期、小児医療の発達が平均寿命の結果に大きく貢献しているのですね。平均寿命を押し上げるのに大きな貢献をしている分野が、現在最も瀕死のダメージを受けているというのは、皮肉な話です。ただ、今回の統計を見ると、75歳の老人でも、平均余命が男性 11.40年、女性 15.16年となっていますので、高齢者になってからも、さらに長生きすることがわかります。
高齢化社会について、これらの高齢者をどうやって支えていくかというのが深刻な問題となっています。高齢化社会を支える社会基盤は危ういものです。私は治療が終わった後に「どうやって退院させるか」が優先順位最上位の患者を常に複数受け持っています。退院交渉をしていて、冷たい医者みたいに見られることもあるのですが、急性期治療を担う基幹病院がこういう患者ばかりになったら、地域の医療が崩壊します。いや、もう崩壊しかけているけど。
家族の言い分としては、「うちではもうみれません」「今は暑いので、もう少し涼しくなってからにしてください。うちは冷房がないので熱中症になっていまいます。」「今は寒いので、もう少し暖かくなってからにしてください。うちは部屋の温度が低いんです。」「ずっと病院に置いといてください」「田植えが終わるまで」など様々。それぞれ深刻なんでしょうけど、自宅に帰れない患者が入所できる施設が不足しているのも事実なんですね。それで病院をすがるケースも多い気がします。国の政策としては、受け皿を準備するのではなく、「長期入院させたら金を切るぞ」という非情なものばかり。現場が、損な役回りを押しつけられています。
都内の老人病院が飽和状態にあるために、地方出身の老人の「里帰り入院」も盛んになってきたと、地方の病院に勤務する「しゃんでりあの君」から聞きました。