父子鷹

By , 2009年1月25日 4:08 PM

クラシック音楽の世界で、親子で活躍しているのは少ないと思います。時々みかけても、世界的な演奏家というのはなかなかいません。歴史的には、ヨハン・セバスチャン・バッハとその子供達なんていうのもいますが、稀なケースです。

ヴァイオリンの世界では、ダヴィッド・オイストラフイーゴリ・オイストラフ親子や、レオニード・コーガン、パヴェル・コーガン親子が代表格と思います。二組とも何故かロシアの演奏家です。ダヴィッド・オイストラフとレオニード・コーガンは良く比較され、ライバルのような扱いです。ちなみに私はコーガン派で、彼の直筆のサインを持っています。

コーガン親子を・・・と言いたいところですが、今回取り上げるのは、オイストラフ親子です。

最近、オイストラフ親子の録音した「協奏交響曲(モーツァルト)」を聴きました。ベルリンフィルハーモニーとの演奏です。個人的には、この曲の哀愁漂う2楽章の旋律にいつも涙します。この曲には名演が多く、ハイフェッツ/プリムローズの演奏は甘い哀愁がありますし、カントロフ/メンデルスゾーンの演奏はヴィオラの響きが素晴らしいです。グッリ/ジュランナの演奏も微妙な陰影の付け方が見事です。

オイストラフ親子の録音ではダヴィッド・オイストラフが指揮とヴィオラを受け持ち、イーゴリ・オイストラフがヴァイオリンを演奏しています。さすが親子で息がぴったり合っています。二人とも音が綺麗で、のびのびした演奏です。でも、個人的には、もう少し切ない演奏の方が好みなのです。

私がこの親子の演奏で他に凄く好きなのは、バッハのドッペルコンチェルトです。この2楽章の絶妙の謳い回しは比類ないものです。この曲の名演は他にもたくさんありますが、この録音を上回る演奏にはなかなか出会えません。手に入りにくくなってしまったのが、残念でなりません。

彼らのように家族で室内楽を楽しめるのは、うらやましい限りです。でも、ダヴィッド・オイストラフが目の前で弾いていたら、イーゴリ・オイストラフも相当緊張するでしょうね。

(追記)
オイストラフ親子は、他に「David & Igor Oistrach」というCDを出しているのですが、曲がちょっとマイナーかも。ヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」やバッハの「トリオソナタ」はまだしも、ヘンデルやベンダの「トリオソナタ」はあまり聴きませんね。ほかにはヴィエニアフスキーの「エチュード・カプリス」やサラサーテの「スペイン舞曲<ナバラ>」が収録されています。興味がある方は是非。

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