棋士羽生善治

By , 2009年7月7日 7:18 AM

「棋士羽生善治(弦巻勝、双葉社)」を読みました。写真集なので眺めたという方が適切かもしれませんが、対談や寄稿など文字情報が非常に多く、「読んだ」という印象です。

巻頭の辞は米長邦雄氏。現将棋連盟会長ですが、羽生善治氏と「人生、惚れてこそ」という対談集を出版されたことがあります。その対談集では、「羽生善治氏をお手本にして49歳で名人位を取ること事が出来た」と米長氏が述べていたのを読んだ記憶があります。

渡辺淳一氏との異質の対談も収載されていて、何故か「性」をテーマに深い話をされています。

梅田望夫氏は本書に「現代版・考える人」というタイトルで寄稿しています。氏は「ウェブ進化論」という本が有名ですが、将棋のタイトル戦(竜王戦)などでの観戦記には、高い評価があります。

最後は団鬼六氏による将棋随筆。団鬼六氏は官能小説で有名な方のようですが、将棋にも造詣が深く、六段の腕前を持っています。「真剣師 小池重明」という将棋小説を書いていますが、「今回を最後に、将棋については書かない」と宣言しました。

そんな彼の文章で、笑ったのが団氏が羽生善治名人につけてもらった指導対局の逸話。上手く負けてもらったそうですが、升田幸三氏だとそうはいかない。升田氏との指導対局(飛車落ち)について書かれています。

 名人今昔

これが升田式講評だと私は将棋雑誌に発表したことがある。

団「どうも最近、私も年の故か、ミスが多いんです。どこが悪かったんでしょう」

升田「いや、序盤はあんたの方が絶対的優勢じゃった」

団「へえぇ、どの辺りですか」

升田「駒を並べた所ですな。あんたには飛車があるのにワシの方には飛車がない。すでに飛車損になっておる」

団「?」

升田「ワッハハハ」

団「敗因はどこらあたりですか」

升田「あんたが駒を動かしたのが敗因ということになります」

団「?」

小児期から現在までの羽生善治名人の「進化」の過程が写真で楽しめますし、掲載されている文章も読み応えがありますので、是非読んでみてください。

Post to Twitter


Leave a Reply

Panorama Theme by Themocracy