小さな政府、大きな政府

By , 2009年10月17日 8:10 AM

小さな政府、大きな政府という議論があります。

財政赤字が拡大している中、政府をスリム化しようというのが小泉構造改革とされています。ところが、李啓充先生の分析を見ると、国際的にも小さな政府の方が国民負担が大きいことがわかります。そして、必ずしも上手くいっているわけではなさそうです。

 緊急論考「小さな政府」が亡ぼす日本の医療(5)

「国民負担率」がどれだけ misleadingな言葉であるかを4回にわたって論じてきたが,ここまでの議論を以下にまとめる。

1)国民負担率は個々の国民の実際の負担を反映しない:国民負担率が日本よりも小さい国(たとえばアメリカ)の国民負担は日本よりも極端に重いし,逆に,国民負担率が日本よりもはるかに大きい国(たとえばフランス・スウェーデンなど)の国民負担は,日本とそれほど変わらない。
2)国民負担率が大きい国で国民負担が重くならない最大の理由は,事業主が手厚く社会保障費を負担していることにあり,先進諸国の実情を見る限り,「小さな政府」は,実際的には「国民の負担が重く,事業主負担は軽い国」と同義と言ってよい。

小さな政府と大きな政府のどちらが良いかという議論は別にして、急にどちらか一方に舵を切れば、その反動は大きいように思います。民主党がどんな党で、今後どんな失政を起こす可能性があるかは別として、今回民主党が政権をとり、福祉などの充実に大きな予算を当てているのは、小泉改革の反動であると言えます (民主党が急激に大きな政府を目指せば、またその反動は来るかも知れません)。

小さな政府、大きな政府の議論には、医療費の話が大きく関わってきますが、下記の李啓充先生のコラム (計 8回) を読むと、増大する医療費をどう捉えていけば良いか、とても参考になります。

緊急論考「小さな政府」が亡ぼす日本の医療(1)

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