ショウジョウバエ

By , 2009年12月13日 2:55 PM

当直の日を休肝日として、普段から飲んだくれているみぐのすけとしては、看過できないニュースです。

ハエも酒に飲まれる=依存症の関連遺伝子解明に期待-実験で確認・米大学

12月12日5時53分配信 時事通信

だんだん酒量が増える、酔っ払うまで飲む、禁酒をやめるとすぐ戻る-。人間のアルコール依存症とそっくりな症状をショウジョウバエが示すことを、米カリフォルニア大の研究チームが多角的な実験で確認した。ショウジョウバエは遺伝子操作が容易で、さまざまな変異体が飼育されており、依存症に関与する遺伝子群を解明するのに役立つという。研究成果は12日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表された。

Wikipediaで調べると、ショウジョウバエの名前の由来が書いてあります。

 wikipedia-ショウジョウバエ-

ショウジョウバエの和名は、代表的な種が赤い目を持つことや酒に好んで集まることから、顔の赤い酒飲みの妖怪「猩々」にちなんで名付けられた。日本では一般には俗にコバエ(小蝿)やスバエ(酢蝿)などとも呼ばれる。学名の Drosophila は「湿気・露を好む」というギリシャ語 δροσος (drosos) + φιλα (phila) にちなむ。これはドイツ語での通称が露バエを意味する Taufliegen であることによる。英語では俗に fruit fly (果実蝿)、 vinegar fly (酢蝿)、 wine fly (ワイン蝿)などと呼ばれる。

へぇ、ショウジョウバエは酒を好み、それが名前の由来にもなっているのですね。

そうすると、ショウジョウバエのアルコール分解酵素活性がどうなっているか気になります。酵素活性が弱く、酒に弱いショウジョウバエも存在するのでしょうか?

と思って、pubmedで「Drosophila」「Alcohol dehydrogenase」というキーワードで検索してみました。どうやら、「コドン偏位 (Codon bias)」とアルコール脱水素酵素活性について、さかんに研究されているようです。

コドン偏位について簡単に説明してみます。まず、アミノ酸は細胞内でコドンと呼ばれる RNAの 3塩基で指定されて作られます。たとえば、「UCG」と並んだ 3塩基の配列 (=コドン) があれば、「セリン」が合成されます。こうしたアミノ酸が連なってタンパク質を形成します。一方で、蛋白合成の終わりを意味する 3塩基配列もあり、特に「終止コドン」と呼びますが、これに対応する配列は「UAA」,「UAG」,「UGA」です。大切なのは、4種類 (U, A, C, G) の塩基を 3塩基組み合わせて使って出来るコドンの組み合わせは 64通りであり、生物が使用している 20種類のアミノ酸より数が多いことです。つまり、各アミノ酸を表すコドンは、重複しているのです。終止コドンについては前述しましたが、「ロイシン」を表すコドンを例にとっても「CUU」「CUC」「CUA」「CUG」の4通りが存在します (→塩基配列が「CUU」だろうが、「CUC」だろうが、「CUA」だろうが、「CUG」だろうが、すべてロイシンが合成される)。ここからさらに突き詰めると、”あるアミノ酸を表すコドンは複数あり、どのコドンが使われるかの頻度には偏りがある”と言うことができ、これをコドン偏位と呼びます。コドン偏位は生物によっても、かなり違いがあるようです 。(参考

コドン偏位とアルコール脱水素酵素活性については、「ショウジョウバエのアルコール脱水素酵素遺伝子のコドン偏位を減らすと、ショウジョウバエ成虫はアルコールに弱くなる (Carlini DB, 2004)」だとか、「ショウジョウバエのアルコール脱水素酵素遺伝子のコドン偏位を増やすと、幼虫ではアルコールに強くなったが、成虫では変わらなかった (Hense W, et al. 2009)」など様々な結果が報告されているようです。要するに、ショウジョウバエにも遺伝子次第で酒に強いのと弱いのがいるということです (※専門外なので、間違いがあったら御指摘ください)。

次なる疑問は、「ショウジョウバエはどのような酒を好むのか?」ということです。ビール党とか、ウイスキー党とかあるのでしょうか?これについては答えが得られませんでした。

ショウジョウバエについては、しゃんでりあの君が非常に詳しく、実際の実験での面白い体験談をたくさん聞かせて頂きました。何かネタを持ってらっしゃるようであれば、コメントお待ちしています。

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