ペラミビル

By , 2009年12月19日 7:18 AM

ペラミビルがついに発売になりそうです。

点滴タイプ抗インフル薬、26日審議 1月にも承認へ

厚生労働省は18日、点滴する注射薬の抗インフルエンザ薬「ペラミビル」(商品名ラピアクタ、塩野義製薬、本社・大阪市)について、26日に開く薬事・食品衛生審議会部会にかけることを明らかにした。順調に審議が進めば、1月中にも、世界に先駆けて承認される見通しだという。

ペラミビルは、飲み薬のタミフルや、口から吸い込むタイプのリレンザと同じ作用の抗インフル薬。せきがひどいなど、口から薬を投与しにくい患者などの治療用として期待されている。10月に承認申請され、11月末に優先審査する対象になっていた。米食品医薬品局(FDA)は10月に、未承認のまま緊急使用許可を出している。

同部会は、新型インフルワクチンの輸入に向けた特例承認についても審査する。

この薬剤は、 12月3日の New England Journal of Medicineでも紹介されていますね。

The Emergency Use Authorization of Peramivir for Treatment of 2009 H1N1 Influenza

・2009年10月23日にFDAはペラミビルの緊急使用許可 (Emergency Use Authorization) を出した。
・FDAが緊急使用許可を出すには、従来の薬剤に比べて同等の効果がある可能性があり、副作用のリスクを利益が上回るだろうと合理的に判断される場合、他に有効な代替の治療法がない場合など、いくつかの基準がある。
・ペラミビルの有効性に関する 4つのトライアルが存在する。ペラミビル 300 mgないし 600 mgの単回静脈内投与は、合併症のない季節性インフルエンザにおいて、症状の改善を約 1日早めた。別の 2つのトライアルでは、オセルタミビル (タミフル) と比較されたが、オセルタミビルに比べて、優位性を示さず、臨床的に意義のある非劣性も証明されなかった。4番目の小トライアルでは、ペラミビルの single doseと multiple dose間での有効性に有意差がなかった。
・新型インフルエンザウイルスにおいては、ペラミビルに対するトライアルは実施されていない。
・FDAの緊急使用許可では、ペラミビル 600 mgを 1日1回 5-10日間静脈内投与を成人への通常投与量とする。
・臨床トライアルで 1891人がペラミビルが様々な投与量、投与法 (静脈内投与、筋肉内注射)、さまざまな期間の投薬を受けた。小児の患者は臨床試験に参加しなかった (Emergency Investigational New Drug procedures では少数の小児がペラミビルの投与を受けている)。最も頻度の多かった副作用は下痢、吐き気、嘔吐、好中球減少症だった。
・CDCのサイトでペラミビルに関する情報を手に入れることができる (http://www.cdc.gov/h1n1flu/eua/peramivir.htm)。

Drug lagをなくすために、世界に先駆けて発売となるわけですが、その分薬剤に関する情報に乏しいのは事実な訳で、そのことを理解して使用する必要があります。たとえ、後に未知の副作用が明らかになったとしても、「薬害」とヒステリックに叫ぶのではなく、「Drug lagの解消」と「情報収集の期間」がそれぞれどの程度優先されるべきか、冷静な議論を続ける必要があります。

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