3秒で心電図を読む本
「3秒で心電図を読む本 (山下武志著、メディカルサイエンス社)」を読み終えました。岩田健太郎先生のブログで紹介されていた本でした。
心電図というと、学生時代に心電図の教科書を読んで、ミネソタ・コードの一部まで覚えようとして結局身に付かなかった苦い経験がよみがえります。でも医者になってから経験を積むうちに、循環器疾患は「放っておいて危険かどうか?」を判断することがまず大事であることに気付き、それから心電図アレルギーがなくなりました。要するに、心電図をマニアックに読んで診断をつけなくても、大丈夫そうかどうかがわかれば、循環器医以外はまず困らないわけです (経験的な話です)。
本書で勉強になったのは、QRSの解釈の仕方やST-Tの扱いです。無症状例での疑陽性、有症状例での偽陰性リスクを考えた ST-T変化の扱い方は必読ですね。これらを知ると、過剰診断をしたり、放っておくと危険な心疾患を見逃したりしにくくなるのではないかと思います。
書評は、上記の岩田先生のブログが素晴らしいものですので、是非御覧になってください。私がそうであったように、読みたくなるかもしれません。心電図を 3秒で読めるようになるかどうかは別として、本書は 3時間くらいで読むことができる、「優しい」本です。