グリーグ
先日、ハンセン病資料館に行った話で、少し触れましたが、ハンセン病に名を残したハンセンはノルウェー人です。
ノルウェーという国のイメージはなかなか湧きにくいもので、スウェーデン、デンマーク、フィンランドといった他の北欧諸国とどうも入り交じってしまいます。
ノルウェー出身で日本知られている人物では画家のムンクが有名ですが、もう一人忘れてはいけないのはグリーグです。劇音楽「ペール・ギュント」が有名かも知れませんが、多くのピアノ曲を残し、「北欧のショパン」とも呼ばれました。私もお気に入りの曲がいくつかあるので、今日は軽くグリーグについて紹介します。
クラシック音楽がロマン派に於いて一つの技術的な頂点を迎えた後、新たな世界を求め、民族音楽との融合が流行りました。勿論ベートーヴェンなども民謡をテーマにしたりしているのですが、音楽に織り込まれた民族性の要素という点が桁違いに違うのです。例を挙げると、ロシアのチャイコフスキー、ハンガリーのコダーイやバルトーク、ルーマニアのエネスク、日本の伊福部昭、アメリカのガーシュウィン、チェコのドヴォルザークやスメタナ、スペインのファリャなどが有名です。
北欧においては、グリーグ、ニールセン、シベリウス、スヴェンセンなどが優れた曲を残しています。
さて、グリーグの置かれた音楽史的な背景に簡単に触れたところで、実際の楽曲を紹介します。私が特にお気に入りの曲です。
・Edvard Grieg String Quartet in G minor, Op. 27: I (part 1)
・Edvard Grieg String Quartet in G minor, Op. 27: I (part 2)
北欧の自然が脳裏に浮かぶような壮大なスケールの弦楽四重奏曲です。目を閉じていると、まだ見ぬ冬の北欧を旅しているような気持ちにさせてくれます。
・Grieg – Violin Sonata No.3, 2nd mov. / Ion Mazur & Akiko Danis, piano
始まりのピアノの澄んだ美しさが心に沁みます。ピアノの使い方の巧さに、グリーグが「北欧のショパン」と言われたことを納得させられます。ヴァイオリンの穏やかな始まりは、私にとって暖炉脇で赤ん坊を見つめる老人のイメージです (この演奏はやや音を張って弾いていますが、他の演奏家だともっと抑制的に演奏することが多いと思います)。曲の終わり方の未来に向かっていく感じも大好きです。
ちなみに、この曲は、あのフリッツ・クライスラーが録音しています。録音の相手は何とラフマニノフです。私はクライスラーの自作自演の全集を、レコード会社別に2セット持っていますが、そのうち1つに収録されていました。歴史的録音と言えますね。