検査を築いた人々
「検査を築いた人々(酒井シヅ、深瀬泰旦著)」という本を読み終えました。100人の科学者の伝記を見開き2ページずつで紹介する本です。
例えばヒポクラテス一人を取ってみても、「『ヒポクラテスの誓い』として広く知られ、医師が一人前になったときに読む誓詞は、ヒポクラテス自身の著作ではないというのが通説である」との記述があり、それは初めて知りました。
また、医師が自身を実験とした報告は多数ありますが、中でもトインビーという耳科病理学を確立した医師は、耳硬化症(ベートーヴェンが罹患していたとする説がある)を初めて記載した医師でもある一方、悲惨な死に方をしました。本から引用しますと「耳鳴りが、ヴァルサルヴァ式の通気と、クロロホルムの吸入によって治癒すると信じて、トインビーはこれを自分自身に試みたところ、1866年7月7日、診察室で死体となって発見された。」とありました。
プルキンエ細胞やプルキンエ線維で有名なプルキンエはゲーテと親交があり、ゲーテの著作のチェコ語への翻訳も行っていたそうです。
医学には人命のついた用語がたくさんありますが、由来となった人物を知ると、また新たな発見があります
それから、脳腫瘍診断のための脳動脈撮影法を発明したモーニスは、1949年に前頭葉切除によるロボトミーによってノーベル賞を受賞したそうですが、作曲家でもあり、ポルトガル外務大臣でもあり、ベルサイユ条約にはポルトガル代表として調印しました。医師のみならず、広く活躍した人で、憧れるものがあります。
この本で紹介されているのは、ヒポクラテス、ガレノス、レーウェンフック、プルキンエ、デシェンヌ、ウォラー、グレーフェ、メンデレーエフ、エルプ、クインケ、コッホ、ゴルジ、レントゲン、ウェルニッケ、ガフキー、カハール、グラム、バビンスキー、ランドシュタイナー、ベルガー、パパニコロウ、ダンディなどです。