モチベーション

By , 2006年10月14日 12:14 AM

新しい研修医制度では、研修医は皮膚科、麻酔科、外科など、我々過去の内科医が持たない知識を広く持つ一方、内科を半年しかまわりません。内科の中では2科しかまわらないこととなります(例えば膠原病と循環器科だけとか)。そのため、研修を終えた時点では、以前の研修過程を終えた内科医と比べて、内科一般の知識は不足していると思います(その後の経験で、その差はなくなっていきますが・・・)。

問題があることだと思い、勝手に研修医を集めて一般的な講義を始めたのですが、研修医からは評判が良いので、続けていこうかと思っています。糖尿病とか、頭痛とか、感染症の治療など内科一般としての知識をテーマに講義していますが、今後分野を拡大していかないとと思っています。

話は変わりますが、前の病院で働いていたとき、後輩から「何故論文を書こうという気になるのですか?」と、論文を書くモチベーションについて質問され、「俺が死んでも残るから」と答え、理解を得られなかったのですが、先日紹介した羽生さんの本を読み終えて、CVA(コーポレート・バリュー・アソシエイツ)という企業の創始者が、同じように考えているという記述を見つけました。何か自分の考えを代弁してもらっているかのようでした。下記は今北純一氏というビジネスマンが、その創始者と話したときのエピソードです。今北氏は「エア・リキード」という世界最大手の工業用・医療用ガスのグループに入り、エア・リキード・パシフィックの代表取締となった人物ですが、その会社を辞め、CVAに就職したそうです。

『あなたのモチベーションは何なのですか?』と聞いたら、「レガシィー(遺産)」という答えが返ってきたのです。財産としてのレガシィーかと思ったら、違うのです。『自分がこの世に生を受けて何を残せるか、という思いが自分のモチベーションになっている』と。つまり、人間は必ず死ぬ訳ですが、死んだ後にその人がいなくても機能する何かを残すことが彼の言うレガシィーであり、モチベーションだったのです。

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