将棋思考プロセス研究

By , 2011年1月24日 7:02 AM

これまで何度かお伝えしたとおり、私は被験者として理化学研究所の「将棋思考プロセス研究」に参加しています。そのプロジェクトの一部が Science誌に掲載されました (論文 Link: The Neural Basis of Intuitive Best Next-Move Generation in Board Game Experts)。この論文は、Yahoo!ニュースなどでも取り上げられました。

 将棋プロの「直観」解明=脳の特定部位活発に―人工知能に応用も・理研など

時事通信 1月21日(金)5時25分配信

理化学研究所などは、将棋のプロ棋士が次の手を直観で選ぶ際に、脳の特定部位が活発化することを突き止めた。人間により近い人工知能の開発などに応用できる可能性があるという。研究成果は21日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
プロ棋士は、長い訓練や対戦経験を基に状況を瞬時に判断し、思考ではなく直観で次の手を打つとされ、その仕組みが研究されてきた。
理研・脳科学総合研究センターの田中啓治副センター長らの研究チームは、羽生善治さんらプロ棋士11人、高段位アマ8人、中段位アマ9人の3グループに対し、将棋やチェスの盤面、人の顔や風景などの画面を12秒間に24コマのペースで繰り返し見せ、脳活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定。プロ棋士が将棋の盤面を見た時だけ、脳の頭頂葉にある「楔前部(けつぜんぶ)」と呼ばれる領域が強く活発化した。
さらにプロとアマ17人ずつに対し、盤面を1秒見せた後、2秒以内に四つの選択肢から選ぶ詰め将棋を解かせた結果、プロ棋士が直観的に問題を解く時だけ、大脳基底核の領域「尾状核(びじょうかく)」が活発化した。次の手を長考させる問題では、大脳皮質の活動のみ活発化。アマ棋士は両問題で尾状核の活動が見られなかった。
二つの領域の活動に、強い相関関係があることも分かった。田中副所長は「プロ棋士の直観力の源は、二つの領域を結ぶ神経回路に存在する可能性が高い。こうした結果は、複雑な情報システムの安定的な運用や、人間に近い人工知能の開発につながる可能性もある」と話している。

私が受けた検査は今回論文になったものとは異なり、今後論文にされる予定のようですが、被験者として有意義な研究に参加出来ていることを実感できて、万感の思いです。論文を日本語で要約したものは、理化学研究所のサイトで見ることが出来ます。

プロ棋士の直観は、尾状核を通る神経回路に導かれる

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