石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命
「石巻赤十字病院、気仙沼市立病院、東北大学病院が救った命 (久志本茂樹監修、アスペクト)」を読み終えました。ボランティアで本吉、渡波を訪れたときのことを思い出しながら、胸を熱くして読みました。各病院の震災直後の様子に一つずつ章を立ててあり、「崩壊した医療システムを、どうやって機能させたのか」を独立した章として扱っていました。
最終章、「”そのとき”を知らない人へ、”そのとき”を知る人からの言葉」には、地震直後を乗り切り震災後半年が近づく中、大切なことが記されていました。
復興とは遠い現実を、知ってほしい
こういう状況で、しかも存在すら忘れられたとなると、自暴自棄になりかねない。私がもっとも心配しているのは、これから自殺者が増えるのではないかということです。心のサポートは、精神科や心療内科の先生がしていますが、単純に精神を病んでいるのではないのです。仕事さえあれば彼らは立ち直れる。そのためには、まだまだ復興段階に入っていないこと、仕事がないということが、どれだけ被災者を苦しめているかということを伝えてほしい。そして、仕事を宮城県に持ってきてほしい。医師である私にはそこまではできない。ただこのままでは、本当に、せっかく助かった命なのに・・・
あとがきには、「私の街には、気仙沼市立病院の成田先生も、石巻赤十字病院の石井先生、小林先生、石橋先生も、また久志本先生もいません。でも、みなさんの経験を記録として残すことで、それを学んだ各地の医師が、先生たちと同じようになってくれるんですね」とあります。震災直後の現地を僕らは知らないし、医療現場でどのようなことが起きていたかも知りません。しかし、本書などでその時のことを知り、個々の医療従事者が起こりうることを想定しておくことで、次にこのような災害が起きたときに被害を最低限にくいとめることができるのではないかと思います。