血栓溶解療法

By , 2007年1月20日 9:58 AM

先日、当院神経内科で初めてのt-PA療法を行いました。この治療法はいくつかのテレビ番組や新聞で紹介されているので、知っている人もいるでしょう。

私が当直中、救急隊から連絡があり、発症から1時間で搬送出来るとのこと。禁忌で該当するものはなく、結局、発症2時間半で投与することが出来ました。元々、完全な左片麻痺だったのが、投与直後左足が挙上出来るようになりました (上肢はflaccidのままでしたが・・・)。

体制が整っていなかったことや、初めて使う薬剤なので戸惑った点もありましたが、使用して良かったと思えるような症例でした。

ただ、大変だったのは、午前1時からの投与だった点。投与中 1時間は 15分毎、投与 1-7時間後は 30分毎、投与 24時間後までは 60分毎の診察 (10分くらいかかる評価法を毎回) が必要だからです。夜通し診察を繰り返しました。

この薬で忘れてはいけないのは、ハイリスク・ハイリターンの薬剤だということです。大野病院産科医逮捕事件で、医師の多くが無過失を主張する事件で、片岡検事は「一か八かではやってもらっては困る」とマスコミに対して発言したようですが、この治療は一か八かの治療です。一か八かを受け入れた方のみ、使用することが出来ます。投与開始のリミットは発症 3時間。考える時間はほとんどありません。決めるのは、医師と家族の短時間の話し合いです(患者に意識があれば確認しますが)。

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