祝!ノーベル医学生理学賞
10月8日、ラボでノーベル賞のサイトを見ていて、山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を受賞したことを知りました。彼の業績については今更説明の必要はないでしょう。
ノーベル賞のサイトの Press releaseを見ると、key publicationsは、この論文になっています。雑誌の購読契約をしていなくても、無料でアクセス出来るみたいですね。
Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors
Youtubeでは、 2010年に NIHで山中先生が行った講義を見ることができます。当初、APOBEC1の研究をされていたみたいです。それから ES細胞の研究をされていたと話しています。ES細胞の研究の後は、奈良先端科学技術大学院大学での iPS細胞の研究の話です。
・Induction of Pluripotency by Defined Factors
ギャグが面白いですね。英語が苦手で、ヒヤリング全くダメな私でも、引きこまれて聞いてしまいました。例として、前半部分のギャグを挙げると・・・
①当時はもっと髪がありました (6:00)
②テクニシャンが言ってきたのです。マウスが妊娠している。でも、オスのマウスなんだ!(8:35)
③APOBEC1が癌遺伝子だとわかった。だからこの遺伝子は遺伝子治療に使えない。(9:30) (※妊娠したと思っていたのは腫瘍化した肝臓だった)
④(3つのことがわかった) 一番重要なこと、「ボスの仮説を信じちゃいけない」 (10:15)
⑤日本に戻って、 私は PADっていう心の病気になりました。PADというのは私が名付けた病気で、”Post America Depression (アメリカ後鬱)” です。 (16:16) (※このあと、金もテクニシャンもなく、自分で数百匹のマウスを世話していたことを語る)
といった感じです。
47分10秒からの、「iPS細胞バンクを作る資金を獲得しようとしたけど、新しい政権 (民主党) は、我々に friendlyじゃない」っていうトークには笑いました。多分、「京大・山中教授「希望奪わないで」事業仕分けの科学予算削減で」とか「最先端研究:支援プログラムの配分額 18~50億円に減」っていう記事と関係がありますね。
さて、体細胞を一気に多能性幹細胞まで戻せる “山中の 4因子” ですが、化学物質を使うことで、4因子の数を減らす試みがされています。我々神経内科医にとってお馴染みのバルプロ酸という抗てんかん薬を使えば、Oct4遺伝子とSox2遺伝子だけで iPS細胞が作れるらしいです。資本が集中投資されているだけあって、凄い勢いで研究が進んでいます。
一方で、この技術、悪用しようと思うと色々できちゃいます。早速色々妄想してる方々がいらっしゃいます (^^;
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(追記)
下記のサイトから、山中伸弥教授に寄付が続々と寄せられているようです。