野菜と長谷川式

By , 2013年9月16日 12:40 PM

認知機能のスクリーニング検査、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R)」には、10種類の野菜を挙げてもらう「野菜語想起課題」があります。

検査をしていると、人参、きゅうり、たまねぎ、ピーマンなどメジャーな野菜じゃなくて、ズッキーニとかマニアックな野菜を挙げる人がいて、なかなか楽しいです。

ところが、野菜か果物か紛らわしいときがたまにあります。別にそれで HDS-Rが 1~2点違ってこようが、実際に大きな問題はないのですが、先日内輪で盛り上がりました。

すいか、メロン、いちごは野菜か果実か

◆回答◆イラスト

結論(けつろん)からからいうと、メロン、すいか、いちごは野菜に分類されます。
それはなぜでしょうか?
野菜と果実のちがいはどこにあるのでしょうか。
園芸関係の学会や報告文では、1年生及(およ)び多年生の草本(そうほん)になる実は野菜、永年生の樹木(じゅもく)になる実はくだものときめられています。
これからみると、すいか、メロンはウリ科の1年生果菜(野菜)で、いちごはバラ科の多年生果菜(野菜)です。
このように、分類上は野菜に分けられますが、青果市場で「すいか」「メロン」「いちご」はくだものとしてあつかわれています。市場の分け方は消費者の側にたって、消費される形態に合わせて分類しています。スーパーマーケットでも、デザートとしてたべるメロンやいちごは、くだもの売場に並(なら)びます。

メロン、すいか、いちごは野菜だったんですね。だから患者さんが野菜として答えても、減点してはダメです (^^)

Wikipediaでは、もう少し詳しく書かれています。

野菜

野菜は一般には食用の草本植物をいう[1]。ただし、野菜の明確な定義づけは難しい問題とされている[3][4]

園芸学上において野菜とは「副食物として利用する草本類の総称」[5]をいう。例えばイチゴスイカメロン園芸分野では野菜として扱われ[3][6]農林水産省「野菜生産出荷統計」でもイチゴ、スイカ、メロンは「果実的野菜」として野菜に分類されているが[5]、青果市場ではこれらは果物(果実部)として扱われ[6][7]厚生労働省の「国民栄養調査」[5]日本食品標準成分表でも「果実類」で扱われている[3][1]。また、日本食品標準成分表において「野菜類」とは別に「いも類」として扱われているもの(食品群としては「いも及びでん粉類」に分類)は一般には野菜として扱われている[1][5]。また、ゼンマイツクシといった山菜については野菜に含めて扱われることもあり[4][7]木本性の植物であるタラの芽サンショウの葉も野菜の仲間として扱われることがある[4]。さらに、日本食品標準成分表において種実類に分類されるヒシなども野菜として取り扱われる場合がある[1]

日本では慣用的に蔬菜(そさい)と同義語となっている[8][9][10]。ただし、「蔬菜」は明治時代に入ってから栽培作物を指して用いられるようになった語で[7][10]、本来は栽培されたものではない野菜や山菜などと厳密な区別があった[11]。しかし、その後、山菜等も栽培されるようになった結果としてこれらの厳密な区別が困難になったといわれ[11]、「野菜」と「蔬菜」は学問的にも全く同義語として扱われるようになっている[11]。そして、「蔬菜」の「蔬」の字が常用漢字外であることもあって一般には「野菜」の語が用いられている[12]。なお、野菜は青物(あおもの)とも呼ばれる[1]

分類する立場によって、色々変わってくるんですね。ややこしい・・・。

Wikipediaには「野菜の一覧」が載っているので、将来自分が検査を受けるようになったら、担当医が知らなさそうなマニアックな野菜の名前を挙げて、顔色を伺って遊ぼうかなと思います。一方で、果物の定義は下記のようになるようです。

果物

果物(くだもの)は、食用になる果実フルーツ: fruits)、水菓子(みずがし)[注釈 1]木菓子(きがし)ともいう。狭義には樹木になるもののみを指し、農林水産省でもこの定義を用いている。また、多年草の食用果実を果物と定義する場合もある。

一般的には、食用になる果実及び果実的野菜のうち、強い甘味を有し、調理せずそのまま食することが一般的であるものを「果物」「フルーツ」と呼ぶことが多い。

ちなみにアボカドは野菜ではなくて果物らしいので注意が必要です。

余談ですが、今回のエントリーを書いていて、岩田誠先生の「臨床医が語るしびれ・頭痛から認知症まで: 神経内科のかかり方」という本の一節を思い出しました。

 一方、一〇六歳で亡くなった物集高量 (もずめたかかず) さんという、辞書まで作った有名な方がおられました。九九歳くらいの時に東京都の養育院 (現在の健康長寿医療センター) の付属病院に入院されたことがあって、そこで認知症のテストをしました。長谷川式知能検査です。当時は今使っているのより少し前のバージョンなので、一番最初の問題が、「一年は何日ですか?」でした。物集さんは、「いやそれは一概には言えませんよ。一年といってもいろいろあるしね、うるう年もあるわけだから」と答えました。そうしたら医者もちょっとたじろぎました。すかさず物集さんが、「ときに君、うるうっていう字、書けますか?」と聞きました。その医者はすくんでしまって書けなかった。そうしたら、「門の下に王って書きますね」と、ちゃんと字を教えてくれて、なぜ門の下に王と書くとうるうになるのかという説明までしてくれたので、その医者は第二問以降の質問をすることができなくなった。未完の長谷川式テストという有名な話です。

その方はその七年後に一〇六歳で亡くなられて、脳を解剖させていただいたら、重量は一〇〇〇gでした。普通は一四〇〇gくらいですから、四〇〇g減っていました。三分の二まではいかないけれども、かなり減っています。でも、パフォーマンスとしての知能は抜群にあり、最後まで明晰なままで亡くなられました。ですから、小さい脳というのは決して萎縮ではありません。そんなわけで、画像の見方は非常に大事です。

Post to Twitter


Leave a Reply

Panorama Theme by Themocracy