シューマンのヴァイオリン・ソナタ
ロベルト・シューマンはヴァイオリン・ソナタを3曲書いています。その中でも、第3番は精神疾患を増悪させて亡くなる数年前に書かれた作品で、F.A.E.ソナタが下敷きになっています。
F.A.E.ソナタは、おそらくシューマンの発案で、第一楽章をディートリヒ、第三楽章をブラームス、第二・第四楽章をシューマンが作曲して、一つの曲として完成しています。シューマンはこの出来が気に入って、第二・四楽章を下敷きにヴァイオリン・ソナタ第3番を作曲しました。下記のような対応になっています。
シューマンのヴァイオリンソナタ第3番
1. Allegro→書きおろし
2. Scherzo→書きおろし
3. Intermezzo→F.A.E.ソナタ第2楽章
4. Finale→F.A.E.ソナタ第4楽章
是非聴きたいと思って CDを探していたら、カントロフが録音していました。
ヴァイオリン・ソナタ第1番、第2番、第3番 カントロフ、ヴォロンダット
素晴らしい演奏です。
しかし疑問点が一点。CDのジャケットは下記のようになっています。
1. Allegro
2. Scherzo
3. Intermezzo
4. Finale
ところが実際の演奏は次のようになっています。
1. Allegro
2. Intermezzo
3. Scherzo
4. Finale
何故かと思ってネットで調べてみると、ウルフ・ヴァーリン/ローランド・ペンティネンの演奏でも同じ楽章配置にされているようで、慣習的にそうされているのかもしれません。
シューマンの「ヴァイオリン・ソナタ第1番 – 第3番」
ただし、このディスクの演奏では、「F.A.E.ソナタ」の第2楽章と第4楽章をそのままにして、新たに作曲された“Ziemlich langsam”を第1楽章に、“Scherzo”を第3楽章に配置している。「第1番」だけが3楽章様式で、その他は4楽章様式であるが、いずれも燃え尽きる前の炎の輝きに似た情念が、暗鬱な抒情性の中に凝縮されている。
カントロフの録音はお薦めなので、シューマンに興味がある方は聴いてみてください。ちなみに、カントロフは成田達輝さんの師匠でもあります。奇遇なことに、eぶらあぼ 10月号37ページに成田達輝さんのインタビューが載っているのを今朝知りました。併せてどうぞ。
eぶらあぼ2013.10月号