Restless legs syndrome

By , 2014年2月22日 7:55 AM

Restless legs syndrome (下肢静止不能症候群, むずむず脚症候群) は、下記診断基準にあるような特徴を有する疾患です。さまざまな媒体で話題になり、その臨床的特徴とインパクトのある名称で、現在ではかなり一般に知られた疾患になっていると思います。

Table 1 診断基準
1. 脚を動かしたいという強い欲求が存在し,また通常その欲求
が,不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
2.静かに横になったり座ったりしている状態で出現,増悪する
3.歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
4.日中より夕方・夜間に増強する

治療には pramipexole (ビ・シフロール) や L-Dopa製剤などが用いられますが、2014年2月13日の New England Journal of Medicine誌に、Pregabalin (リリカ) と pramipexoleの比較試験が掲載されていました。

Comparison of Pregabalin with Pramipexole for Restless Legs Syndrome

Patients were randomly assigned to receive 52 weeks of treatment with pregabalin at a dose of 300 mg per day or pramipexole at a dose of 0.25 mg or 0.5 mg per day or 12 weeks of placebo followed by 40 weeks of randomly assigned active treatment. (略)

A total of 719 participants received daily treatment, 182 with 300 mg of pregabalin, 178 with 0.25 mg of pramipexole, 180 with 0.5 mg of pramipexole, and 179 with placebo. Over a period of 12 weeks, the improvement (reduction) in mean scores on the IRLS scale was greater, by 4.5 points, among participants receiving pregabalin than among those receiving placebo (P<0.001), and the proportion of patients with symptoms that were very much improved or much improved was also greater with pregabalin than with placebo (71.4% vs. 46.8%, P<0.001). The rate of augmentation over a period of 40 or 52 weeks was significantly lower with pregabalin than with pramipexole at a dose of 0.5 mg (2.1% vs. 7.7%, P=0.001) but not at a dose of 0.25 mg (2.1% vs. 5.3%, P=0.08).(略)

最初の 12週間はプラセボ群、pramipexole 0.25 mg群, pramipexole 0.5 mg群, pregabalin 300 mg群にランダムに割付け、その後プラセボ群を抜き出してランダムに薬剤を割付けるという試験デザインでした。Primary endpointは、12週の時点での pregabalinとプラセボの比較と、40ないし 52週時点での pregabalinと pramipexoleの比較でした。

結果ですが、12週の時点で、pregabalin 300 mg群は、プラセボ群と比較して、IRLS score並びに CGI-evaluationを有意に改善を示しました。一方で、pramipexole 0.25 mg群では有意な改善はなく、pramipexole 0.5 mg群で改善を認めました。非劣性評価において、12週及び 52週時点での IRLS scoreは、pramipexole 0.25 mg群ないし 0.5 mg群と比較して、pregabalin 300 mg群で大きな改善を認めました。

40週ないし 52週の時点における augmentation (薬剤内服中の症状の増悪) は、pregabalin 300 mg群で pramipexole 0.5 mg群とくらべて有意に優れていましたが、pramipexole 0.25 mg群と比較すると有意差はありませんでした。

副作用は、pramipexole 0.25 mg群の 18.5%, 0.5 mg群の 23.9%、pregabain 300 mg群の 27.5%で見られました。pregabalin 300 mg群の一般的な副作用は、浮動性めまい、眠気、倦怠感、頭痛であり、pramipexole群の一般的な副作用は頭痛、吐き気、倦怠感でした。

上記のような論文の記載を見ると、効果及び augmentationの予防において、pregabalinの方が優れた治療法に思えます。

但し注意が必要で、この臨床研究は、pregabalinを発売するファイザー社がスポンサーです。

もう一点気になるのが投与量です。高齢者に pregabalin 300 mgという量は、副作用を起こしやすいと多いと思います。何故このような投与量なのか?実は 2010年の neurology誌に載ったプラセボ対照試験は、”flexible-dose schedule” という容量設定で行われ、治療効果は平均 139 mg/dayから既に認められたものの、322.50 mg/day (±98.77) という量が最も効果的であったそうです。こうしたこともあり、このような投与量で臨床試験がなされたのではないかと思います。ちなみに Neurology論文については、物言いが付いており、“量が多くて副作用が出やすいから、もっと少ない量で検討すべき (The mean effective dose was 337.5 (105.6) mg/day, which is high and could result in sedation, weight gain, and ataxia. A lower dose should have been considered)” と letterが寄せられていました。余談ですが、その letterには、”Level A evidence is available for cabergoline, levodopa, transdermal rotigotine, and gabapentin. Level B evidence is available for pramipexole, bromocriptine, valproate, carbamazepine, clonidine, oxycodone, and clonazepam.” と治療薬のエビデンスレベルが簡単に紹介されています。

さて、 話が脱線しますが、pregabalinは最近では神経障害性疼痛のみならず、てんかん治療薬としても臨床研究が行われ、2014年2月18日に neurology誌に掲載された論文でも、それなりの成績を残しているようです。もともと神経障害性疼痛に用いられていたカルバマゼピン (テグレトール)、ガバペンチン (ガバペン)も抗てんかん薬であったことを考えると、さもありなんという感じです。

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