第4回抄読会
6月12日に内輪で抄読会を行いました。
電気整理の I先生は、「糖尿病性動眼神経麻痺は、末梢神経の虚血性ニューロパチーと考えられているが、実は動眼神経核など、中枢の虚血が原因の症例も多いのではないか?」という論文を紹介しました (Hopf HC, et al. Diabetic 3rd nerve palsy: Evidence for mesencephalic lesion. Neurology 40; 1041-1045, 1990)。
私は、胸腺腫について2本紹介しました。
①Lamberts SWJ. The thymus : at the interface between immunology and neuroendocrinology. Ann Med 31; 3-4, 1991
②Muller-Hermelink HK, et al. Pathological aspects of malignant and benign thymic disorders. Ann Med; 5-14, 1991
①の論文は、胸腺についての総論。胸腺における somatostatinやsubstance Pの重要性などについて。
②の論文は胸腺腫の病理分類について。まだ色々な分類が混在しているので、それを整理しました。また、胸腺疾患はしばしば重症筋無力症を合併しますが、何故胸腺炎での胸腺摘出は重症筋無力症の症状を緩和するのに、胸腺腫では改善に乏しいかを検討しました。胸腺腫で改善に乏しいのは、既に自己攻撃性 T細胞が胸腺から播種しているからとされていますが、それでも心臓血管合併症を起こすため、手術はせざるを得ないことも記載されていました。
結局末梢神経の病理を専門に選んだ K医師は、「massachusetts general hospital」のカンファレンスを題材に症例呈示しました (N Engl J Med 2007; 356: 1252-)。Sjogren症候群って、本当に扱いが難しいですね。私たちの勉強会の結論では、sicca syndromeとsjogren syndromeは別個の疾患で、sicca syndromeは診断基準にあるのと反対に、実は sjogren syndromeの本態ではないのではないか・・・、ということでした。もちろん overlapすることも多々ありますけど。また、多発性硬化症と Sjogren症候群による脊髄炎はしばしば鑑別が困難ですね。
New England Journal of Medicineは、世界で最も権威ある医学雑誌の一つですが、最近「Wii」というゲーム器で肩を痛める Wiitisという病気を掲載した、ユニークな面も持っています。