糖尿病患者における ACE阻害薬と ARB
JAMA Internal Medicineに、2014年3月31日付けで興味深い meta-analysisの結果が出ていました。糖尿病患者の降圧に ACE阻害薬を使うか、ARBを使うかという論文です。ご存知の通り、日本では製薬会社のプロモーション活動が功を奏し、ARBが広く使用されています。あまりに宣伝が過熱して、ディオバンやブロプレスはデータ捏造等の不祥事を起こしてますね。
Effect of Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers on All-Cause Mortality, Cardiovascular Deaths, and Cardiovascular Events in Patients With Diabetes Mellitus
今回の meta-analysisでは、糖尿病患者に対し、ACE阻害薬は総死亡、心血管死、心血管イベント (心筋梗塞、心不全) を抑制するが、ARBは心不全を除いていずれも抑制しなかったという結果でした。過去の BPLTTCの結果なんかを見ても、心疾患に関しては、ARBより ACE阻害薬の方が有効と思っていましたが、それを裏付ける結果です。しかし、ARBがここまで効かないとは驚きでした。
でも、この meta-analysisが今後どの程度医師の処方に影響を与えるかはちょっと疑問です。普段から論文を読んで勉強している医師はこういうシチュエーションで最初からあまり ARBを使っていなかったと思うし、勉強していない医師はこれからも製薬会社の宣伝に乗っかって ARBを出し続けると思うからです (多くの製薬会社は、都合の悪いデータを宣伝しません)。こういう現状は、ちょっと残念に思っています。
ちなみに脳卒中はどちらの薬でも差はなく、やはり「何を使って下げるか」より「どの程度下げるか」の要素の方が大きいのだろうと思いました。