Acute and chronic ataxic neuropathies with disialosyl antibodies
2014年5月号の Muscle & Nerve誌の invited reviewは、disialosyl抗体に伴う失調性ニューロパチーでした。結城先生が書かれていて、非常によく纏まっていました。
Acute and chronic ataxic neuropathies with disialosyl antibodies: A continuous clinical spectrum and a common pathophysiological mechanism
総説では、disialosyl抗体に伴う失調性ニューロパチーを「急性」と「慢性」に分けて解説してありました。
急性失調性ニューロパチーには、Fisher syndrome (FS), ataxic Guillain-Barre syndrome (ataxic GBS), acute sensory ataxic neuropathy (ASAN) があります。FSは抗GQ1b-IgG抗体 (抗GT1a抗体と cross react) が 83%で陽性になり、抗GD1b抗体が 2%で陽性になります。責任病巣はよくわかっていませんが、node/paranodeの障害 (可逆的な伝導障害)、軸索変性、Ia遠心性線維の障害 (→proprioceptive afferent systemの機能障害がおきる) などが想定されています。Ataxic GBSも抗GQ1b-IgG抗体が陽性になります。ASANは抗GD1b-IgG抗体やそれに組み合わせて抗GD3抗体、抗GT1a抗体、抗GT1b抗体、抗GQ1b抗体などが陽性になります。
慢性失調性ニューロパチーには、CANOMAD (chronic ataxic neuropathy, ophthalmoplegia, IgM paraprotein, cold agglutinins, and disianosyl antibodies) があります。臨床症状は病名の通りです。しかし、外眼筋麻痺を欠く症例があることなどから、最近では CANDA (chronic ataxic neuropathy with disalosyl antibodies) と呼ばれるのが一般的であるようです。CANDAでは、GD1bや GQ1bに対する IgM paraproteinが陽性になるとのことでした。機序としては、慢性例では dorsal root ganglionopathyが、再発寛解を繰り返す症例では神経内の Bリンパ球から分泌される抗体の存在が関与しているのではないかと推測されていました。
CANDAについては良く知らなかったので、非常に勉強になる総説でした。