抗菌薬関連脳症

By , 2016年2月24日 6:19 AM

2016年2月17日の Neurology誌に抗菌薬関連脳症についての総説が掲載されていました。

Antibiotic-associated encephalopathy

入院患者でこうした脳症をきたしたとき、抗菌薬関連脳症の存在を知らないと、例えば精神症状をせん妄として治療してしまうかもしれません。診断が遅れないように知識として持っておく必要があります。

著者らによると、抗菌薬関連脳症 (AAE) は 3つのフェノタイプに分けられるそうです。以下に要点を示しておきます。

① Type I

薬剤開始後数日以内に痙攣発作やミオクローヌスをきたす脳症。頭部MRIは正常で脳波異常がみられる。セファロスポリンやペニシリン系に多い。セファロスポリン関連脳症は、腎不全で多く報告されている。数日以内に改善する。GABAを介した抑制系のシナプス伝達の障害による易興奮性が原因と考えられている。

② Type II

通常開始後数日以内に精神症状、まれに痙攣発作がみられる。脳波異常は稀 (あったとしても、てんかん性というよりむしろ非特異的な異常) で、頭部MRIは正常、数日以内に改善する。プロカインペニシリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、マクロライドに多い。ドパミンD2受容体やNMDA型グルタミン酸受容体を介した効果を示す薬剤 (コカイン、アンフェタミン、フェンサイクリジン) との類似性が指摘されている。

③ Type III

メトロニダゾールのみで出現する。薬剤開始後数週間以内に、しばしば小脳失調、まれに痙攣発作がみられる。脳波異常はまれで非特異的である。可逆性の MRI異常が小脳歯状核、脳幹背側部、脳梁膨大部にみられ、血管原性浮腫、細胞障害性浮腫を示す。病因的には、フリーラジカル形成やチアミン (ビタミンB1) 代謝と関連があるといわれている。

抗菌薬関連脳症

抗菌薬関連脳症

(参考)

バンコマイシン誘発振戦

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