側頭動脈炎とVZV
2015年11月の JAMA Neurologyに、側頭動脈炎と水痘・帯状疱疹ウイルス (VZV) の関連を示した論文が掲載されました。
Analysis of Varicella-Zoster Virus in Temporal Arteries Biopsy Positive and Negative for Giant Cell Arteritis
「側頭動脈炎で、巨細胞性動脈炎の病理所見が得られなかった症例の 64%, 巨細胞性動脈炎の病理所見が得られた症例の 73%で VZV抗原が病理学的に証明された。正常の側頭動脈で VZV抗原が陽性だったのは 22%だった」という報告です。側頭動脈炎において、VZVが関連している可能性が強く示唆されました。著者らは、抗ウイルス療法をステロイドに追加すると有効かもしれないと推測しています。
もともと、VZVは血管障害を起こすことが知られているウイルスで、私も VZV感染に合併した脳梗塞症例の経験があります。昨年、JAMA Neurologyのこの論文を読んだ時は衝撃を受けましたが、言われてみれば納得できる話です。
最近これに関連した報告を知人に教えてもらったのですが、肉芽腫性動脈炎患者の大動脈で、11例中 11例に VZV抗原が検出されたそうです (非肉芽腫性動脈炎患者では 18例中 5例)。
Varicella Zoster Virus Infection in Granulomatous Arteritis of the Aorta
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(2016.5.5追記)
最近、こんな報告も出たようです。知り合いがリツイートしていて知りました。
VZV in biopsy-positive & -negative giant cell arteritis: Analysis of 100+ temporal arteries https://t.co/FI7qcbu5tt https://t.co/jB40GoCIUg
— Neurology Journal (@GreenJournal) April 29, 2016