ALSへのPerampanel

By , 2016年7月6日 5:46 PM

2014年10月26日のブログ記事で、私は次のように書きました。

ALSと陰性徴候

余談ですが、グルタミン酸受容体のなかで AMPA受容体と ALSの関係について最近多くの論文が発表されています。そんな中、2014年10月20日に、AMPA受容体拮抗薬 “Perampanel” が抗てんかん薬として FDAから承認されました。この薬が、ALSでの AMPA受容体が関与した細胞毒性を抑えてくれることはないのか・・・ふと思いました。論文検索してみても誰も研究していないみたいですし、何の根拠もない全くの妄想ですけれど・・・(^^; (開示すべき COIはありません)

なんと、東京大学神経内科らのグループが Perampanelを ALSのマウスモデルに使って有効性を示した論文が 2016年6月28日に発表されました。

The AMPA receptor antagonist perampanel robustly rescues amyotrophic lateral sclerosis (ALS) pathology in sporadic ALS model mice

俺って、センスあるじゃん」と、この論文の存在を知って嬉しくなりました。

ALSの進行、抗てんかん薬で抑制 東大、マウスで実験

瀬川茂子

2016年6月28日19時37分

全身の筋肉が衰えていく難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の進行を抗てんかん薬の一種で止められる可能性を東京大などのグループがマウスの実験で示した。英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版で28日、発表した。

グループは、筋肉の運動神経細胞にカルシウムが過剰に流入して細胞死を起こすことがALSの進行にかかわることを動物実験で確認してきた。そこで、細胞へのカルシウム流入を抑える作用のある抗てんかん薬「ペランパネル」に注目した。

ALSに似た症状をもつように遺伝子操作したマウスに、90日間、この薬を与えた。薬を与えなかったマウスは、次第に運動神経の細胞死が起こったが、薬を与えたマウスでは細胞死が抑えられた。回し車に乗る運動能力や、ものをつかむ力も実験開始時の状態を保つことができたという。

グループの郭伸(かくしん)・国際医療福祉大特任教授(神経内科)は、既存薬なので安全性は確認されているとして、「医師主導の臨床試験を始めたい」としている。(瀬川茂子)

今後は臨床試験を予定しているようですが、すでに海外で承認されている抗てんかん薬なので、比較的やりやすいと思います。ALSの場合は、マウスで効いても人では効かない・・・ということの繰り返しなので、実際にどういう結果がでるかはやってみないとわかりません (・・・個人的には五分五分よりは分が悪いと思っています) が、良い結果を期待したいと思います。

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