カヴァコス
第27回パシフィック・ミュージック・フェスティバル2016、PMFオーケストラ東京公演を聴きに行きました。
PMFオーケストラ東京公演
メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90 「イタリア」
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ショスタコーヴィチ:交響曲 第8番 ハ短調 作品65
ワレリー・ゲルギエフ (指揮)
レオニダス・カヴァコス (ヴァイオリン)
PMFオーケストラ
2016年8月9日 (火)
開演 19:00
サントリーホール
PMFオーケストラは若手演奏家の集まりですが、とてもレベルが高くてビックリしました。管楽器のソロパートなどを聴いても、海外の有名オーケストラと違いを感じませんでした。演奏とは直接関係ありませんが、川村拓也さんという北海道大学医学部の学生が、なんとヴァイオリニストとしてこのオーディションを通っていたんですね。同じ医療人として、また音楽を共通の趣味とする人間として、いつか会ってみたいです (彼の場合は音楽も趣味というより仕事かもしれませんが)。
私がこのコンサートに行った目的は、「カヴァコスが聴きたかったから」です。
カヴァコスが演奏するブラームスのヴァイオリン協奏曲は、オーケストラとの調和が素晴らしかったです。オーケストラがカヴァコスに合わせているというよりも、カヴァコスがオーケストラと対話しながら表現をしている感じがしました。そのおかげで、この曲の室内楽的魅力が際立っていました。また、洗練されていない音は一つもなくて、全ての音に惹きつけられました。カヴァコスは現在、世界を代表するヴァイオリニストと言われていますが、納得の演奏でした。
アンコールは無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番の第3楽章。私がこれまで聴いたバッハの無伴奏曲の中で、最高と言える演奏でした。一緒に聴きに行っていた友人の口から、演奏後に「神だ」という言葉が漏れたくらいです。全ての声部が数人で弾いているかのようにくっきりと浮き上がり、旋律はこの上なく洗練されていました。この曲はいくつかの声部を和音で同時に演奏しなければならず、左手の形が難しい和音の時には旋律となる声部に何らかの影響が出てもおかしくないのですが、全くそれを感じさせませんでした。囁くように弾いたかと思えば、ホール中が音で埋め尽くされるようなところもあり、作りがとても立体的でした。
終演時刻は22時を回っており、ぐったりと疲れましたが、とても良い演奏会でした。
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(参考)