ヴァイオリン演奏は命がけ?

By , 2007年11月30日 8:05 AM

ヴァイオリンを演奏する姿勢は、人間の体の作りから見ると、どう考えても不自然です。さらに、頸の部分に常時楽器が押しつけられます。上手な演奏家は脱力しているので、素人に比べて少し負担は軽減するかもしれませんが、その分練習量が多いので、どこまで負担が減るかはわかりません。

で、何が言いたかったかというと、頸に押しつけられたヴァイオリンのせいで左頸動脈の動脈硬化が促進される可能性があるということです。そんな論文を見つけたので紹介します。

Kibata M, Nozaki R. Battle for violin exercise promotes “Carotid Plaque”? J Atheroscler Thromb 14: 151, 2007

15年間以上ヴァイオリン演奏を続けている 57歳の男性が、左頸動脈 plaqueと左頸動脈狭窄を指摘された。部位は bifurcationで、plaqueの IMT厚は 3.8mmだった。左内頸動脈の開存率は 40.4%だった。右頸動脈に異常はなく、左頸動脈でも他の部分の血管に異常はなかった。患者には、他に動脈硬化のリスクファクターはなかった。左側だけの高度動脈狭窄の原因はヴァイオリン演奏のせいだと考えられる。

論文のタイトルが疑問符になってるのは、可能性までしか指摘できないからでしょう。1例だけでは結論は出ないでしょうね。

もし、プロのオーケストラに協力して頂けるなら、ヴァイオリニストに片っ端から頸動脈超音波検査をして、動脈硬化の左右差を調べたいところです。左内頸動脈の動脈硬化は、優位半球の脳梗塞につながるリスクにありますから、特にきちんと調べた方が良いでしょうね。そうしたことで、この研究には意義があると思います。もし、協力して頂けるオーケストラをご存じな方がいらっしゃったら、連絡をください。

これはきちんと研究すべき課題だと思っています。

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