腰曲がり

By , 2007年12月18日 7:29 AM

腰曲がりという病気があります。初めて名前を聞いたときには、「そんな、バカな。年寄りの多くは腰が曲がっているではないか?」と思ったのですが、れっきとした病気として存在します。英語では Camptocormiaと呼ばれます。

詳しく病気のことを紹介したブログがあります、
Neurology-腰曲がり病(Camptocormia)-
Neurology-Camptocormia(腰曲り)をどう治療するか?-

なかなか治療の難しい病気で、私も薬物経口投与、MAB療法などを試みた経験がありますが、なかなか治療反応性が悪かったのを覚えています。ボツリヌス治療の有効性は指摘されていますが、保険適応外で、一回の治療に約 10万円かかります。数ヶ月で治療効果が切れるので、その都度治療を繰り返す必要があります。

そうした中、面白い発表がありました。私はその発表を聞きにいっておらず、抄録 (武井麻子ら.Protirelin tartrateによりcamptocormiaが改善した他系統萎縮症 (MSA) の2症例.臨床神経 46: 428, 2006) で読んだのですが、実践しておられる先生からは、治療効果は良いようです。

その治療は、TRHによる治療です。TRHは脊髄小脳変性症の治療でも使われます。

何故効くのか、教授に相談してみました。すると、こんな返事が返ってきました。「昔、Rolling mouse Nagoyaというのがあってね。脊髄小脳変性症の動物モデルだとされていて、それに TRHが効くから、脊髄小脳変性症の治療で TRHを使うようになったんだ。でも、最近はその動物モデルはジストニアのモデルだという意見もあってね。腰曲がりもジストニアが関与しているんだったら、TRHが効いてもおかしくない」とのことでした。そのことについて文献を探したのですが、見つかりませんでした。ちなみに、首下がりに対する TRHの効果は、腰曲がりに比べると今ひとつ落ちるそうです。現在のところ、Pubmedで検索しても論文がほとんどなく、神経内科医の中でもまだ口コミに近い話です。

Post to Twitter


Leave a Reply

Panorama Theme by Themocracy