ザルツブルグ旅行(2004年8月12日〜8月19日)

プラハ第2日目

 朝起きて窓から外を見ると、晴れていた。とても清々しい。朝食を摂り、外出する。散策してそのままオペラを観に行けるように、スーツを着て外出し たのが判断ミス。

 まず、ホテルから目と鼻の先にある、「ミュシャ美術館」へ入った。昨日の夕食の時に見たような絵が、たくさん飾られている。女性を描いた絵には、 あまりの色っぽさに、胸が高鳴るような1枚もあった。
 
 次に、ドヴォルザーク記念館へ行くために、ヴァーツラフ広場南の国立博物館近くにある「MUSEUM」駅へ向かった。駅では、小銭を入れて改札をくぐる のだが、あいにく小銭がなく、近くの売店でジュースを買って、両替とした。地下鉄は他の国とあまり変わりなく、目的地のC線「I.P.Pavlova」駅 は、「MUSEUM」から一駅だった。

 「Pavlova」駅から、大体の方角を見定めて歩く。なんだか立派な建物の脇を通って数百メートル歩いて、着いたのがなんと「MUSEUM」 駅!迷って一駅歩いてしまったらしい。馬鹿馬鹿しいが、もう一度地下鉄に乗る。また小銭がなく、売店でジュースを買って両替する。「振り出しに戻る」とは このことだ。おまけに暑い中、スーツを着て楽器を持って歩いているので汗だくである。

 「Pavlova」駅から、今度は逆方向へ歩いてみる。通りが込み入ってわかりにくい。数人に話しかけてみたが、英語が通じない。チェコ語という のは、少し聞いても全然ニュアンスがわからない。ドイツ語ならまだなんとか見当もつくのだが。と、警察官を見つけた。早速話しかけると、彼は英語を話すこ とが出来た。道は合っていたが、詳しく聞いてみると、すごくわかりにくい路地に入らないといけないらしい。教わったとおりに歩くと、わかりづらい位置に、 「ドヴォルザーク記念館」を見つけることが出来た。

 汗まみれのまま中に入り、入場料を払う。建物の中はひんやりと涼しい。ドヴォルザークが演奏していたビオラや、着ていた服、自筆譜の拡大コピーな どが展示されている。2階はとても綺麗な天井画がある部屋に椅子が置いてあり、少し休めるようになっていた。汗が引くまで休憩し、建物の入り口へ向かう。 そこには楽譜が売られていた。ドヴォルザークの弦楽四重奏曲のスコアを数曲買った。「シュプラフォン」という、現地の出版社から出ている楽譜だ。なかなか 日本では手に入らない。良い記念品となるだろう。

 建物を出て、あまりの暑さに、ホテルに一度戻ることにする。ホテルでシャツを変え、少し涼む。落ち着いたところで楽器を弾いてみた。思い浮かぶま まに数曲小さな音で演奏する。動きやすい服に着替えると、盗難に遭わないように楽器を持って2度目の外出をすることにした。と、掃除をしていた女性が、 「Your violin?」と話しかけてきた。「Yes!」と答えると、「Very good!」と褒めてくれた。そういえば、このホテルには高名な音楽家が時々泊まることがあると聞いたが、その女性には、そのうちの一人に見えただろう か?

 コンセルジュに「楽譜が買いたい」と伝えると、「YAMAHA」を教えてくれた。教わったとおりに、ヴァーツラフ広場を横切って、店へ向かった。 ところが店はピアノ専門店。楽譜は全然置いていなかった。「YAMAHA」で同じように楽譜を売っている店を聞く。どうやらヴルタヴァ川を渡った先にある らしい。何番の路面電車に乗れば良いか聞いて、店を出た。

 プラハにはたくさんの路面電車が走っており、番号を間違えて乗ると大変なことになる。慎重に路面電車に乗った。教わった駅の手前で電車から「Capriccio」 という看板が目に入った。電車を降り、少し引きかえすと目的とする店にたどり着いた。

 店の中は楽譜が所狭しと並べられていて、こちらの名もない作曲家の楽譜を数点購入した。こうした、他では決して手に入らないような楽譜は貴重だと 思う。品揃えを見ると、知らない作曲家の作品が多い。名前から推測するとチェコの作曲家の様だ。国が貧しく、使い古しの楽譜を使う人が多いせいか、ヴァイ オリンの基礎教本の中古が多く揃えてある。チェコの音楽の土壌を少し感じる瞬間だ。店員に話を聞くと、「INFO@CAPRICCIO.CZ」にメールを 送ると、日本からでも注文出来るそうである。

 楽譜屋の近くの斜面にちょっとした彫刻を発見。手前に近づいて来るに従って、完全な存在になることが表現されている彫刻だ。

 帰りは少し歩くことにする。ヴルタヴァ川に架かる橋を渡る。橋の上から見える景色は絶景で、この都市が何故世界遺産に指定されたか、雄弁に物語っ ている。この辺りにはスメタナ記念館もあるのだが、残念なことに本日は休館日である。

 時間が余っているので、ちょっとした思いつきから、近くを走る路面電車に乗ってみた。行き先のわからない電車だ。適当なところで降りて、適当に歩 く。地図を見て、大体のホテルの方角へと歩いていくと、無事ホテルに着いた。ちょっとした探検気分を味わえた。

 ホテルのレストランでオリンピックを見ながら、食事をする。レストランはバーも兼ねていて、かなりゆったり出来る。食事を摂って、着替えた後は、 いよいよオペラを聴きに外出だ。この旅行最後のコンサートなので、気合いが入る。ホテルの横にボウリング場の看板があり、「チェコでもボウリングってある のか」など思いながら、コンサート会場を目指す。会場はスタヴォフスケー劇場で、「ドン・ジョバンニ」の初演でこけら落としをした由緒あるホールだ。そし て今日の演目は「ドン・ジョバンニ」である。

 ホールの中は、目映いばかりの金色の世界だ。贅を尽くした内装に圧倒される。

 オペラ自体は、「ドン・ジョバンニ」がここで初演されたことから、上演回数が多いのか、みんな「慣れている」というのが感じ取れた。「Morte」と か、その他「Folia」「Libertinaggio」「Amore」など単語の書かれた箱の上で、オペラの内容に合わせてピエロが踊るシーンなどは、 わかりやすい演出だった。また、主演の女性がとても可愛く、心奪われてしまった。演奏も安定感があり、聴きやすかった。

 帰って最後のお仕事。こちらの女性が、男に抱かれた時どんなあえぎ声をあげるかの調査である(笑)。テレビを見ると、チャンネルによってはアダルトチャ ンネルの最初の数秒が映るようになっていた。その数秒を見て有料放送を聴くか選択して下さいという意味だ。何度かチャンネルを切り替えながらその数秒を有 効に使って調査。ドイツ語のあえぎ声を聞くことに成功した。「Ja!Ja!」或いは「Nein!Nein」と言っている様だ。どうでも良いことなのだけ ど、少し興味のあったことを確認できて良かった。と、安心して就寝。この旅行も最後の夜となる。


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