ドイツ旅行(2009年9月2日〜9月9日)

フランクフルト第2日目

 時差ぼけのためか、かなり早く目が覚めた。というか、現地時間で午前 3時くらい。ベッドの中で悶々として過ごし、朝を迎えた。

 朝食は、ドイツのホテルでは最も一般的なもので、ソーセージ、ハム、卵料理、サラダ、パンなどをバイキングで食べるものだ。これが私の口にはなかなか合わないので、ソーセージ一本に卵とコーヒーでいつも終わらせることになる。米、みそ汁、生卵、納豆、海苔、鮭といった日本の朝食がこれほど恋しくなることもない。

 外は雨が降ったり止んだり。日本から持参した折りたたみ傘がこういうときに訳に立つ。傘は現地で買うことも可能なのだが、ドイツの傘は壊れやすいし、止んだときに持ち歩くのも不便だ。

 中央駅から市内の方へ、Tanus strasseを下っていくと、シラー像がある。細長い形の公園になっていて、ベンチで読書をするには持ってこいだが、あいにくの雨。そのまま街を散策することにした。

 アルト・オペラ (Alte Oper) まで歩き、チケットショップにふらっと入ってみた。日本でチケットが手に入らなかったコンサートがあり、受付で聞いてみると、空きがあるという。見事、前列の真ん中のチケットを入手することができた。

ゲーテ像

 そこからゲーテ通りを通ってゲーテ像へ。それを横目に見てゲーテハウスに向かう。診察道具を買いたくて、近くの薬局で店員に聞いたが、どこで売っているかはわからなかった。

 それからゲーテハウスへ。部屋毎に色が変えられていて、黄色っぽい内装の部屋、青っぽい内装の部屋なんかがあった。部屋毎にテーマがあるというのは、なかなか良い。また、音楽用の部屋もあって、ピアノが置いてあった。もしゲーテの小説を読んでいたら、もっと楽しめただろうに、と少し残念だった。自分の教養のなさを感じた。

 ゲーテハウスを出て、欧州中央銀行、フランクフルト歌劇場の横を通り、マインタワーへ。マインタワーでは金属探知器による検査の後、エレベーターに乗って地上 200mくらいにある展望台に上った。雨は止んでいたが、強風が吹いていて、飛ばされそうだった。一方で、手すりの高さは 1mくらいしかなく、下手に落ちたら地上まで真っ逆さまだ。その分、邪魔なものはなく、街を一望することができた。すぐ下にスカイレストランがあったのだが、こちらは残念ながら 17時30分まで閉まっていた。

 仕方がないので、アルテ・オペラの近くのレストランで、シュニッツェルとビールを楽しんだ。

 どこに行くかしばらく思案した挙げ句、動物園に行くことにした。いい歳した男が一人で行くところでもない気がするが、海外の動物園の雰囲気を知りたかった。

 地下鉄を降りると、すぐそこが動物園だ。中に立派な建物がある。中に入って、熊だの虎だのライオンだのを見たが、凄く距離が近い。虎とはガラス一枚で対面できるし、金網一枚というところもある。電気を消した建物で、夜行動物をたくさんみられる場所もあって、新鮮だった。ガラス一枚隔てた部屋の中で、コウモリが映画のように大量に飛んでいて、こんなのに襲われたらひとたまりもないと思った。残念だったのは、動物の名前がドイツ語だったので何の生き物かわからなかったこと。ま、何の生き物だったとして、私のこれからの人生に影響は与えないだろうけれど。

 動物園からホテルに戻り、荷物を全部置いてアルテ・オペラに出掛けた。昼間チケットを入手したコンサートがあるのだ。

オペラハウス

 最初の曲は、ブーレーズ作曲。現代曲で、聴きどころがわからなかった。和声がはっきりしなくて、音楽の方向が見えない。腹痛で下痢をしているときのような周期で盛り上がりがあり、「下痢便の音楽 (Geriben Musik)」と名づけてみた。

 続く曲はヒンデミットのヴァイオリン協奏曲。ソリストは、私の大好きなヴァイオリニスト、F. P. ツィンマーマンだ。曲自体は難解な曲だったけど、ツィンマーマンが良かった。極めつけは、アンコールに弾いたバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番第3楽章。柔らかく、どこか懐かしい演奏で、老人がベッドで若い頃を思い出しているかのようなイメージを思いおこさせた。

 最後の曲はブルックナー。ひたすら長かった。20時に始まったコンサートが終わったのが 22時 30分で、「おい、ブルックナー、もう少し短く出来るだろう」なんて思いながら聴いていた。「話の長い男」なんていうあだ名を付けたくなった。まぁ、オーケストレーションが上手いのは認めるし、私の音楽に対する理解が乏しいから、そんな感想を抱くだけなのだろうけど。

 アルテ・オペラから、公園内をシラー像まで歩き、Taunus strasseを通ってホテルの方へ戻ったのだけど、Tanus strasseはいかがわしい通りらしく、ピンク色のネオンの建物がたくさんあった。看板をみると「SEX INN」なんて書いてあって、近くのクラブでは、綺麗な女性が男性といちゃついているのが外から見えた。私の前に売春婦らしき女性が前に立ちふさがってどいてくれなかったのだけど、無理に振り切ってホテルに戻った。誘惑に打ち勝つとは、私も大人になったものだ。ただ単に、ぼったくられるのや病気を貰うのが恐かっただけとも言えるのだけど。


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